『四日市競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 初日編

 四日市競輪場で開設68周年記念「泗水杯争奪戦(GIII)」が、11月7日に幕を開けた。

ナイターで行われている今シリーズは、初日の一次予選から激しい戦いが繰り広げられた。

メインの特選では、四日市がホームバンクの地元両者の手に汗握るゴール勝負にファンが沸いた。
8日の2日目には二次予選A、Bで準決への勝ち上がりが争われる。


本場では開催中の毎日、抽選でオリジナルクオカード、
場内利用券などが当たるスピードくじを先着とヤクルトを配布します。

グラビアアイドルの佐野マリアさんガールズケイリンの元選手や現役選手によるトークショー
選手会カフェ&サイクルタイムトライアル」、山口幸二氏による予想会などが予定されています。

四日市競輪場では様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。

ぜひ、本場へ足をお運びください。

<1R>

山田諒選手
山田諒選手
 山田諒(写真)にフタをした山岸圭太は、赤板2コーナーから再度踏んで主導権。しかしながら、山田もすかさず反撃に出る。合わせて踏み上げる山岸を山田が最終ホーム過ぎにとらえて、そのまま押し切った。
 「(フタをされて)ああなったらしょうがないですね。(その前に合わせて出て)突っ張りとかも考えたけど、冷静に展開をと思いました。大瀬戸(潤一郎)さんにももってこられたし、終わったなって思った。(ああいうレースを)やったことがないんでたまたまですね。調子に乗らず、でも乗っていきたい」
 山拓は苦渋の選択。最終バック手前で山田ラインに切り替えて2着に追い込んだ。
 「(山岸を)入れようかと思ったけど、小川(賢人)さんが見えた。入れたらそっくり行かれちゃうと思って、申し訳ないけど。最近、自転車もマッチしてきて、感じが良くなった。でも、あれで1着までいけてれば。あと一歩ですね」


<2R>

窓場千加頼選手
窓場千加頼選手
 赤板2コーナーで小原太樹が切った上を中近ラインが叩くが、小原は白井一機をさばいて3番手を奪取。今度は吉武信太朗が仕掛けるが、最終ホームで三谷将太が外にけん制する。それでも外にへばりついた吉武だったが、2センターでいっぱい。逃げた窓場千加頼を利した三谷が、追い込んで1着。
 「小原は俺のところも狙いに来ていたから、3番手の位置に飛び付いたのはわかった。内も空けられないし(吉武が)ずっと外にへばり付いていて嫌だったけど、もっていくしかなかった」
 三谷の援護にも助けられた窓場千加頼(写真)は、積極的な走りで2着に粘り込んだ。
 「一番強い小原さんに先に切られてはダメですね。6番(中村弘之輔)が切った上をそのまま叩いて小原さんを後方に置かないと。最後はタレていたし、残してもらった感じです。でも、久々に逃げの決まり手も付けられたし、2日目以降につながりますね」


<3R>

 打鐘で主導権を握った地元の伊藤稔真に、南関勢が襲い掛かる。最終1コーナーでは逃げる伊藤が合わせたかに見えたが、外を粘り強く踏んだ近藤隆司がバックで踏み勝つ。近藤の番手で脚を溜めた海老根恵太(写真)が、ゴール前で追い込んだ。
 「コンリュウ(近藤)はよく行きましたね。(踏み合いになったけど)ああなったらコンリュウは強いですから。あとは自分が飛ばないように。本当に前のおかげですけど、1着なんで(状態は)いいですよ」
 1着の海老根も含めてゴール前は、6車が横一線。近藤隆が3着に踏ん張った。
 「(3着に)残れたんで良かった。残り1周でもう全開だったし、キツかった。5、6着になるかなって思った。車番が悪かったけど、(周回中に)中団が取れたのも大きかった。(前回から)軟らかめのシューズにして感触は良くないんですけど、自転車(の進み)は悪くないんですよ」


<4R>

 後ろ攻めの廣田敦士が赤板過ぎに先頭に立つと打鐘では一本棒になる。別線勢に動きはなく、廣田が徐々にペースを上げて最終ホームを通過。中団の藤田大輔が1コーナー先まくりを放つも、7番手まで車を下げた吉本卓仁がその上を豪快にまくって白星スタートを決めた。
 「余裕はなかったですね。行ける所が2カ所ほどあったし、後ろに合志さんと池田(浩士)さんが付いてくれて早めにいかないとダメなのに気持ちが弱くて構えさせてもらった。(藤田が)先に仕掛けてくれたのもよかった。池田さんまで連れ込める力がなかったけど、合志さんとワンツーが決まって良かった」
 合志正臣は吉本と呼吸を合わせて続きワンツーを決めた。
 「バックが追い風で先行屋がカカるからホームぐらいには仕掛けるかなと思った。藤田君が先に仕掛けてくれたのも良かったね。3コーナーあたりは内からこられないように差し気味に走った。余裕はずっとありますね。戦える感じに戻ってきた」


<5R>

 赤板過ぎに先に切った戸田康平打鐘で佐藤雅春が押さえるが、戸田は3番手の位置からすかさず叩き返す。しかし、番手の山形一気が離れてレースが乱れる。8番手まで下げた金子幸央に動きはなく、5番手で戦況を見極めていた畑段嵐士が最終2コーナーからシャープにまくって詰め寄る渡辺十夢を振り切った。
 「ホームで緩んだ時に見てしまっていけなかったのがダメですね。でもあんなん(山形が離れる)になるとは思っていなかったので。道中でスピードがちょっと鈍ってしまったのでもう少しスパッと行ければ良かった。前回から中2日でそこまで良くないけど頑張ります」
 4コーナーから早めに踏み込んだ渡辺十夢であったが、差し切れず2着まで。
 「恰好悪いね(苦笑)。本気で抜きにいったけど差せなかった。踏み込んだのに自転車が進まなかった。畑段君が強かったね」


<6R>

岡田征陽選手
岡田征陽選手
 伊藤裕貴に併せ込んでから、河村雅章が勢いよく飛び出して先頭に立つ。伊藤を一本棒の7番手に置いて、河村が駆ける。4番手から空けた車間を詰めながらまくった東矢昇太を阻んだ岡田征陽(写真)が、直線で抜け出した。
 「(弟デシの河村には)いつもプレッシャーをかけちゃってますかね(笑)。あそこから河村君が掛かってっちゃうと思ってたし、自分は余裕があったけどヘタクソでした。もっと車間を空けるなりできたかと。(感じは)悪くないけど、まだやることがあります」
 7番手の伊藤裕貴は、最終3コーナー過ぎから外を踏んで直線での落車のアクシデントを避けて2着に入った。
 「ジャン前のところも危なかったです。そのあとは(打鐘の)4コーナーで仕掛けていれば、あそこ(中団に)入れましたかね」


<7R>

白戸淳太郎選手
白戸淳太郎選手
 後ろ攻めの中井太祐が赤板過ぎに切った上を、小林則之がさらに切り、そこを叩いた木村弘が打鐘から主導権。すんなり中団を確保した小林は、最終ホームから巻き返しにきた中井に合わせる形で2コーナーからまくり発進。バックで山下渡の牽制を乗り越えると、ゴール前で白戸淳太郎(写真)が差し切った。
 「こんな恵まれ良いのかな。作戦は小林君のお任せでスタートだけ1番車をもらえたので、中団を取ると。自分の中では前受けと後ろ攻めのラインが違って想定外でした。(小林は)よく切りに行ってくれた。あれで中団が取れたし、切りにいくのって結構脚を使うからキツいのにね。やっぱり1着は嬉しいですね。やる気が出てきます」
 小林則之は巧みな組み立てから鋭いまくりを放ち笑顔を見せる。
 「かなりキツかったけど、嬉しい。前回の準決勝で白戸さんに迷惑かけたので、今回こそワンツーと思ってそれが力になりました。ある程度、思った通りに組み立てられた。木村弘君がすぐにこなければ、先行も考えていた。ワンツーが決まって本当に嬉しい」
 稲垣裕之は目標の中井が不発の窮地も、冷静に自力に転じて踏み上げ3着に入った。
 「中井君も警戒される立場で、早めに巻き返さないとって気持ちが不発になったのかなって感じ。あの展開になったら、(中井君は)腹を括っても良かったかもね。その後のリカバリーはもっと巧くしたかったけど、前が強かった。2日目以降はしっかりと修正したい」


<8R>

 中団取りに動く谷口明正を林大悟が打鐘で叩いて主導権。正攻法から引いた小松崎大地は7番手となるが、態勢を整えて最終2コーナーからまくり発進。合わせて踏み込む谷口ラインの上を軽々と飲み込むと、林の番手で車間を空けて待ち構えていた松尾信太郎もまとめて飲み込んだ。
 「正直、カマそうか迷いましたけど、待ちました。同期の中田(健太)君が3番手を固めてくれていたのでライン3人で決めるならカマすべきでしたね。そのあとは自分の行きたいタイミングで。前も踏んでいて外々になったので余裕はなかったですけど乗り越えられたので。焦って仕掛けるのではなく、力でねじ伏せるレースも時にはしないといけないかなって。でもステージが上がれば通用しないので2日目以降は考えて走りたい」
 小松崎にピタリと続いた伏見俊昭が2着をキープ。
 「あれは抜けない(苦笑)。あと半周踏む距離が長ければ行けたかもですけど。でも自分的には脚も軽かったし悪くない。大地が強かったですね」


<9R>

松本貴治選手
松本貴治選手
 前受から迷わず7番手まで下げた松本貴治は、一戸康宏がペースを上げないのを見て打鐘の3コーナーから巻き返す。最終ホーム過ぎにスピードの違いで叩き切った松本に、岩津裕介が続く。丹波靖貴は付け切れず、3番手に一戸が飛び付く。番手の岩津は、逃げる松本との車間を空けて後続にプレッシャーをかけゴール前できっちり追い込んだ。
 「松本が強かった。僕はだいぶ踏み込んでやっと抜けた。松本はジャンからいってるし、普通なら(末脚が)甘くなるところですけどね。自分は自力の8番(一戸)と1番(阿部拓真)の動きを見てだった。(感じは)悪くないし、あとは微調整をして」
 力の違いを見せて岩津とワンツーの松本貴治(写真)だが、クールダウンをしながら慎重に言葉を選ぶ。
 「ちょっと重い。軽さはない。でも踏んだら進む感じがありますね。(一戸が)あれで駆けてたら、もうちょっと待ってと思ったんですけど、駆けてなかったから行きました。(最終)バックで止まったし、押さえて駆けてたらどうだったのかと」


<10R>

 前受けの石塚輪太郎は赤板過ぎに本多哲也を突っ張ってから、九州トリオを受けて中団をキープする。前団を射程圏に入れた石塚が最終2コーナーからのまくりでのみ込むと、地元の坂口晃輔が差し切った。
 「石塚君は突っ張って脚を使って中団を取ってと冷静でしたね。1着が取れたし、抜ける抜けないでは感覚も違ってくる。自分は落ち着いて走れている。この感覚をもって2日目以降も走りたい」
 後方に置かれることなく立ち回った石塚輪太郎は、坂口に交わされるも上々の動きを見せた。
 「7番手にはならないような組み立てを意識して走った。初手の並びからも、あの組み立てがベストだったと思います。金ヶ江(勇気)君が踏み直しているのを見ながら仕掛けた。坂口さんを振り切って押し切れれば良かったけど、差されてしまいましたね」


<11R>

 いったんは片岡迪之と中団で併走した嵯峨昇喜郎だったが、7番手に下げて打鐘の3コーナーから一気。3番手の須賀和彦は嵯峨のダッシュに遅れるも、番手の大森慶一は嵯峨を追走してゴール前で楽に追い込んだ。
 「踏み出しがすごかったですね。出切って流していたから、余裕もあるんだろうって思った。最後もタレずに踏み直していたけど、自分も余裕はあったので(最終)4コーナーを回って差せると思いました。もっと遅めのカマシか、まくりなら差せなかったかもしれない。本当に強いですよ」
 3番手以下を置き去りにした嵯峨昇喜郎が、2着で二次予選Aに進んだ。
 「(片岡が)ずっと外にいる感じだったので、だったら下げた方がいいと思った。いい感じのダッシュで行けたけど、タイミング的に上る感じになったので後ろの人はキツかったと思う。出切ってからしっかり流して、最後も踏み直した。でも、簡単に(大森に)差されましたね」


<12R>

柴崎淳選手
柴崎淳選手
 後方から上昇した和田真久留が赤板過ぎに誘導後位に入って、後続の出方をうかがう。村上義弘が内を進出して平原康多は、6番手の外併走から打鐘で仕掛けるが和田がペースを上げて先行策。平原は中団で浅井康太ともつれ、4コーナーから村上が反撃に出る。3番手の柴崎淳は村上に合わせるようにまくりを打つ。平原を阻んだ浅井は、村上と重なるも懸命に柴崎を追いかける。逃げる和田をとらえて押し切り図る柴崎を、浅井がきっちり差し切った。
 「平原さんに入ってこられないようにして、そこからキツかったですけどね。(最終)バックからはゴールまで出し切れるようにと思って踏みました。戦える脚はあるし、(番手で)繊細な動きがちゃんとできたと思います」
 最終2コーナー手前で佐藤慎太郎に振られた柴崎淳(写真)だったが、さすがのスピードで乗り越え浅井とゴール勝負に持ち込んだ。
 「(村上に)かぶる前に行かないとっていうのがあった。(佐藤に)ブロックをもらったけど、フレームの特性が出た。伸びがハンパない。加速していくのが遅いけど、そこからどんどん伸びていった」
 「全然うまくいかなかった。最後まで対処しきれなかった」と、平原康多は思惑と違う展開に4着まで。2日目の二次予選に気持ちをリセットする。