【ROOKIES】次世代スター候補の小原佑太が特進

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 12月14日に西武園競輪場で達成した朝倉智仁から日を置かずして、12月16日開催の奈良FIIミッドナイトで小原佑太(写真)が3場所連続完全優勝での特別昇級を果たした。奥出良-吉川起也で逃げた北陸コンビ、さらに小原を止めにいった吉川の内をすくっての番手まくりで小原に合わせようとした嘉永泰斗と敵陣の抵抗も激しかったが、力ずくでねじ伏せて115期4人目のS級戦士となった。
 これまでにも紹介したように、小原は競輪学校を卒業後、ナショナルチーム入り。強化指定B選手として、東京の次のパリ五輪を目指す次代を担うスーパースター候補だ。脇本雄太らとのトレーニングに加えて、ワールドカップ第1、2戦にも出場するなどハードな競技生活を送る。その一方で競輪でも結果を出しており、9月和歌山FIIでチャレンジから特別昇班すると、1・2班戦は4場所で通過することとなった。
 「以前、脇本さんには“今は自分の競走を相手に印象付ける時期”とアドバイスをいただいてましたが、今回は内容より特進を決めてこいとナショナルチームの先輩からも言われてました。直前の練習ではタイムも出て感じも良かったし、タイミングを見てしっかり踏めました」
 競技用のカーボンフレームと競輪用の鉄のフレームの使い分けに試行錯誤し、すでにS級優勝までしている坂井洋、高橋晋也を追う形とはなったが、何ら見劣りしない超逸材だ。また一人楽しみな選手が出てきた。


 

 レジェンド坂本勉(57期・引退)を叔父に持ち、親戚にはS級戦士がズラリとそろった競輪界のサラブレッド。やはり現S級の兄・康祐を追って競輪界入りを果たした磯島成介(写真)が、12月小倉FIIミッドナイトで早くも6回目の優勝を3連勝で飾った。決勝は田上晃也、宮崎大空との同期対決だったが、落ち着いて中団で構えると、後方から先に仕掛けた田上を追って、上がり11秒0の快速まくりを決めてみせた。
 「(田上の)番手の人が離れ気味で危ないなと思ったけど、何とか捕らえられて良かった。今月から(渡邉)晴智さんのところ、富士グループに冬季移動して練習しています。決勝でも先行で勝てれば。それが今の目標だけど、勝てるように走れとも周りには言われてる。優勝6回もしてるので、早く上に上がりたいんですけどね」
 脚質は地脚で、“なかなか先行させてもらえない。嵯峨昇喜郎さんと練習してダッシュ力の違いを感じた。課題はそこです”とデビュー当初は話していたが、まくりに回されても強く、一戦ごとに自身を増していってる感じ。“自分の優勝は最後方からまくってとかが結構多い。スピードに乗った状態から加速するのは得意です”。次走は、12月29日に西武園ミッドナイトフィナーレのメインで行なわれる企画レース。ミッドナイト競輪で顕著な活躍を見せた選手が出場する一戦だけに、さすがに相手も強力だが、主役を譲ることはないだろう。


 

 デビュー以来、安定した成績を残しながら、優勝にはなかなか手が届かなかった吉堂将規(写真)。しかし、12月川崎FIIミッドナイトで待望の初Vを無傷で遂げると、続く同月西武園FIIも完全V。一気に特別昇班に王手を懸けた。
 「一つ(優勝を)獲れたことで気持ちが楽になりました。これからです。これまで決勝になると単騎戦が多くなって難しかった。単騎でもタイミングがあれば仕掛けようと思ってはいるんですけど、組み立ても難しいし、やっぱり気持ちの弱さが出てしまっていた」
 学生時代はハンマー投げで活躍。持ち前のパワーを発揮し在校12位と好成績を残した好素材だ。地脚タイプで、グイグイ踏み上げていく競走は迫力に満ちている。“先行にこだわりはない”と話すものの、決まり手の8割が逃げてのもの。馬力を生かしたパワー駆けで押し通す。
 「奈良のバンク練習では三谷竜生さんやトップ選手もいるのでいい刺激になっています。課題は末の粘りですね。まだ最後にタレてしまうから」
 次走は1月8日からの岐阜FIIの予定。同期のライバルに、期変わりとあって格上の選手も待ち構えるハイレベルな一戦だが、新年早々に2班に上がってみせるか。