【ROOKIES】今年も実施される暮れの大一番

■Pickup Race

 昨年から始まった一年の最後を締めくくる「ミッドナイトフィナーレ」。今年は西武園競輪場を舞台に行われる。通常の3日制7レース制チャレンジ戦に加え、単発レースを連日、メインで実施。29日第8レースにA級3班(チャレンジ)戦企画レース、30日第8レースにA級1・2班戦企画レース、そして最終日の第8レースではガールズケイリン企画レースが実施される。1・2班戦企画レース以外には115回生が出場するが、一番の注目レースは、磯島成介(写真)と張野幸聖が激突するA級3班(チャレンジ)戦企画レースか。12月前橋FII、小倉FIIミッドナイトを連覇してデビューからのV回数を6まで伸ばした磯島、11月高松FIIモーニング、12月和歌山FIIを連続完全優勝していて、次走の1月8日からの取手FIIで特別昇班が懸かる張野のマッチアップは興味深い。両者は10月大宮FII決勝で一度対戦しているが、このときは朝倉智仁が優勝して痛み分けの結果に終わっている。ともに地脚脚質で、特にまくりで結果を出している。磯島は地区的に単騎となりそうだが、“自分の優勝は最後方からまくってとかが結構多い。スピードに乗った状態から加速するのは得意です”と不利にしない。この2人に、115期第三の男・宮崎大空、地元の徹底先行・尾崎悠生もV争いに加わる。
 3日制7レース制チャレンジ戦は、エリート・藤井侑吾と、ここにきて調子を上げてきた田中大我が軸の優勝争い。ガールズ戦は、梶田舞、大久保花梨、柳原真緒らガールズトップに、116期の出世頭の吉岡詩織が胸を借りる。


 

■Pickup Rookie

 12月松阪FIIモーニングで通算4V目をゲットして、最初の半年間を駆け抜けた照井拓成(写真)。そもそも名門大学の自転車部出身で、在校順位は15位だったが、卒業記念レースで決勝進出も果たしたエリートだ。まだ特別昇班には縁がないものの、デビュー2場所目の初優勝から順調に軌道に乗って活躍している。
 「人気になってて、勝てる感じなのに負けることがある。弱気な所が今の課題です。決勝とか同期と対戦したりすると、意識してしまう。もっと強気に力を出し切る競走をしていかないと」
 勝ち上がりではラインで決めるべく前受けからの突っ張り先行や押さえ先行も見せるが、何よりもスピードを生かしたカマシ、まくりが得意。直近の松阪の優勝も単騎で最後方となる展開にも最終2コーナーから上がり11秒6の快速まくりを決めたものだった。
 「(同じく2コーナーまくりで快勝した)11月大宮FIIの準決のような競走が脚質的にも理想のパターンです。番手が離れる心配のない人だったので思い切って仕掛けられました。今は冬期移動していて、大学時代の同級生でもある坂井洋を頼って宇都宮でやらせてもらっています。栃木の同期3人との練習が中心です。12月18日くらいまでバンク改修をやっててあまり乗れてはいないけど、良い刺激をもらっている」
 持ち味を生かすにも、ラインがしっかりする1・2班戦に早く上がりたい。新年は正月開催の小倉FIIミッドナイトから気を緩めず飛ばしていく。


 

 野球の強豪校の出身で、甲子園出場の経験も持つアスリート。“活躍している姿を見せて親に恩返しがしたい”と宇佐見優介(写真)は未知の世界に飛び込んだ。競輪学校では“今回生の中で一番自主練習をする”をテーマに力を付けて、23位で卒業。デビュー後は、12場所走った時点で決勝進出が2回と準決が壁の厳しい状態が続くが、持ち前の地脚を生かした先行基本の積極策を貫き、一歩ずつ前進していっている。
 「個人競技の競輪は自分の力がそのまま成績に出るけど、ラインの力というのも分かってきました。今は先行して力を付けていきたいと思っています。課題はトップスピードの維持ですね。地脚タイプなのでスピードを上げるのも得意ではないですが、トップスピードを維持することもできていないので。課題を克服できるような練習に取り組んでいます。レースでも上のクラスになると流れに沿って走れていないので、そこを意識して」
 まだ課題は多いが、直近の12月立川FIIも2勝を挙げている。準決はまくられたが、同期ナンバースリーの阪本正和が相手。「力を出し切った結果です。阪本君のラインを後方に置いて駆けることはできたのでそこは良かったけど、結果行かれてしまっているので脚力不足です」と振り返る。28日からの別府FIIナイターを走ってデビューの年も終わる。新年は飛躍してみせる。