『第35回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 2日目編

 20年のGIが豊橋から始まる。豊橋競輪場を舞台に開催されている第35回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(GI)」は、2月9日に2日目が行われた。メインの「スタールビー賞」は南関勢がワンツー。郡司浩平のまくりを和田健太郎が追い込んで勝ち星を挙げた。

また、地元の吉田敏洋が1着で二次予選を勝ち上がり、一次予選で敗退した金子貴志だったが、2日目は白星でホームバンクのファンの期待に応えた。シリーズも正念場、10日の3日目には今年最初のGIファイナルのキップをかけて、準決で激戦が繰り広げられる。

 本場では開催中の毎日、500人様に先着サービス(3日目はブラックサンダーと場内食事補助券)、競輪VR体験ブース、選手会ブース、予想会、餃子フェスタ、未確定車券抽選会などが行われます。また、10日の3日目には、日本競輪選手養成所の滝澤正光所長によるトークショー、地元選手による「選手会愛知支部歌謡ショー」、浜松オート所属の岡谷美由紀選手、ボートレース浜名湖所属の豊田結選手、ガールズケイリン選手による「公営競技ガールズコラボトークショー」なども予定されています。豊橋競輪場では、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

日本名輪会トークショー
日本名輪会トークショー

 

スタールビー賞出場選手特別紹介
スタールビー賞出場選手特別紹介

スタールビー賞 レース経過

 号砲で平原康多が出て、吉田拓矢-平原の関東勢が前受け。以下、松浦悠士-清水裕友-渡部哲男、坂口晃輔、郡司浩平-和田健太郎井上昌己となって周回を重ねる。
 赤板ホーム入り口で郡司が上昇し、赤板過ぎに誘導を切る。その上を松浦が押さえ、さらにカマシ気味に踏んだ吉田が打鐘過ぎに松浦を叩いて主導権を握った。松浦は注文通り3番手を確保する一方、郡司は再び7番手に戻って一本棒に。飛ばす吉田に対し、最終1コーナーから松浦がまくりにいくも、平原がブロック。それでもまくろうとした松浦だが、平原が巧みなけん制で出させない。後方に下がった郡司が仕掛けたのは2コーナーから。力強く加速した郡司は、3コーナーで平原、松浦で併走する外を乗り越えて先頭に立った。そのまま直線に入ると、ピッタリ追走の和田がゴール前でズブリ。南関ワンツーで決着し、3着には不発の松浦後位から鋭く伸びた清水が入る。


 

<6R>

吉田敏洋選手
吉田敏洋選手
 併走になった鈴木竜士に打鐘の3コーナーで押し込まれるように内を突いた柴崎淳が主導権を奪うが、吉田敏洋(写真)は付け切れない。逃げる柴崎の後ろに鈴木が入って、吉田は5番手で立て直す。渡邉一成のまくりに合わせて、まくり追い込んだ吉田が突き抜けた。
 「打鐘の2センターで前に付いていったら失格でしょう。(柴崎と)連係を外すのはダメなんだけど…。車の伸びとしては、進まないところで伸びているので良いと思う。最近は記念のあっ旋が少なくて、FIばかりだった。けど、そこでずっと自力で戦ったことで、地元のビッグレースに向けた準備ができたと思う」
 前々に攻めた鈴木竜士は、柴崎を利して2着に追い込んだ。
 「組み立てはいいんじゃないですかね。最近は踏める距離が短くなってきたので、脚を使わないでいい位置をキープすることが大事。前(柴崎)の掛かりが良かったので、(最終)2コーナーからのまくりが飛んでくる感じではなかった。でも、(吉田)敏洋さんのまくりはまったく気がつかなかったですね。準決に乗れたことは良かったけど、最近は1着が取れていないので勝ちたい気持ちが強い」

<7R>

 赤板過ぎに切った原田研太朗を2コーナーで山崎芳仁が押さえる。打鐘で内をすくった堀内俊介が3番手に収まり、原田は4番手に。前受けから7番手まで下げた三谷竜馬は最終ホーム前からロングスパート。懸命に抵抗する北日本勢を3コーナーで抜き去る。続いた村上博幸(写真)がゴール前で逆転した。
 「要所、要所、感覚のズレはあるけど、(最終)4コーナーで余裕がないわけではなかった。この風は本当にキツい。でも、三谷は強いし、こういうコンディションは得意。並ばれても出切れるだろうと思っていた」
 差されはしたが、まくり残りで三谷竜生が2着。
 「いったん引いて行けるところからと思っていた。あの位置から行けているし、守澤(太志)さんのブロックも見えていた。山崎さんの先行? 自分もホームから踏んでいるし、流れのなかでそうなっただけなので。もう少し出るかなと思ったが、決められて良かった」

<8R>

菅田壱道選手
菅田壱道選手
 山崎賢人が7番手に下げ切ったのが、打鐘を過ぎてから。先頭に立っていた渡邉雄太が腹を固めてペースを上げて逃げる。労せずに好位を手に入れた菅田壱道(写真)は、最終2コーナー手前から踏み込んで前団の南関勢を仕留めた。
 「最低、中団でした。そこから山崎君がカマしてきたら、すかさずスイッチをしようと。こなかったんであの展開になりました。勇気をもって仕掛けられた。(和田)真久留も番手から出られる脚があるんで、構えられたら厳しいと思った。しっかり(ラインの)3人で決めようと。去年の後半はGIに出られなかった。だからこそ、今年最初のGIに照準を合わせた。優勝しかみてないし、1日1日集中できている」
 宮城ワンツーで流れ込んだ大槻寛徳は、頼れる後輩をたたえる。
 「(菅田は)仕上がってますね、すごいいいタイミングで行った。ここしかないっていうところだった。あとは俺がからまれるかどうかだった。自分も初日よりは(感じが)良かった。(菅田には)なにも言うことはない」

<9R>

 後ろ攻めから上昇してきた根田空史の動きに合わせて吉澤純平(写真)が切って3番手で受ける。打鐘から軽快に風を切った根田に対し、8番手となった中川誠一郎が最終2コーナーからまくり上げるが、3番手の位置で間合いを計っていた吉澤が、早めの追い込み勝負で激戦を制した。
 「逃げているのが根田君でしたし、風も強かったので仕掛けが遅くなってしまいましたね。東(龍之介)君もやることやるタイプなので。車が出たというよりも気持ちで踏んだ感じです」
 吉澤を追走した木暮安由が、直線で詰め寄って2着。
 「(吉澤が)後ろの気配を察知してくれて、仕掛けてくれたおかげですね。差し切りたかったけど、風で脚が溜まらなかった」
 根田をリードした東龍之介が、外を張りながら追い込んで3着に入った。
 「根田さんのおかげで恵まれました。張った時には吉澤さんがもう外を踏んでいたので止められなかったですね」 

<10R>

小松崎大地選手
小松崎大地選手
 後ろ攻めの山田英明が押さえると、松井宏佑は九州勢を追わずに前受けの古性優作が3番手に入り、小松崎大地(写真)が5番手、松井は7番手となり打鐘を迎える。松井は中団の両ラインに警戒されて動けない。最終ホーム手前で腹をくくった山田が、一次予選に続いて先行策に出る。3番手の古性が2コーナー手前からまくるが、山田も懸命に合わせる。前団の併走を小松崎大地が力強くまくり切り、連勝で準決進出を決めた。
 「松井君が九州勢を追わなかったので、前に出るか一瞬迷いましたけどね。(各ラインの)車間がほどよく空いていたし、そのままで。(最終)3コーナーの登りを仕掛けたけど、そこは勇気を持って、力を出し切ることだけを考えていきました。踏んでいる感じは悪くないと思う。一戦、一戦を勝ち上がるしか決勝へ行ける道はないので、(準決も)同じように頑張るだけです」
 一次予選に続いて先行策となった山田英明が2着に粘り、照れ笑いを浮かべながらのコメント。
 「(松井は)僕を追って前へ出ればいいのにね。前へ出て、松井君以外のラインを見たら、後ろ(松井)しか見ていない(笑)。ああ、そういうことですかって思って、打鐘過ぎに(先行の)腹をくくりました」

<11R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 不破将登、岩本俊介(写真)の順で切った上を新山響平が打鐘で押さえて先行態勢を取る。3番手の位置を岩本と追い上げた松岡健介で取り合う。新山がハイピッチで駆けて3番手はもつれたまま。後方から巻き返した不破は稲川翔に弾かれて不発。最終2コーナーで3番手の位置を取り切った岩本が、直線勝負で北日本両者をとらえ、連勝を飾った。
 「仕掛けが遅くなって諸橋(愛)さんには申し訳なかったですね。結果的には1着だけど、新山も風がキツいし、バックでは(強風が)きいたんでしょう。(自分としては)ヨコが課題ですね」
 番手絶好の佐藤慎太郎は、岩本の強襲に屈して2着に。
 「(新山が)頑張ってくれたのに残せず悔しい。ああいういいレースをしてくれた時ほど悔しいですね。やっぱり(新山みたいな)先行選手には3車欲しいところだけど、与えられたところでやるだけです。ラインの大切さを感じたレースでしたね」

<12R>

和田健太郎選手
和田健太郎選手
 3車の松浦悠士ラインが赤板の2コーナーで押さえて先頭に立つが、吉田拓矢がすかさず反撃に出る。吉田が主導権を握って、松浦は3番手。最終ホームを通過して、松浦は早めに踏み上げるが平原康多に再三、けん制される。松浦は不発で、2コーナーからまくっていた郡司浩平が前団に迫る。逃げる吉田をとらえた郡司を和田健太郎(写真)が差し切った。
 「(郡司は)よく行ったなっていう感じです。松浦君も落車しそうになってたんで、そこを避けながらですからね。自分はすごい余裕があるわけじゃないけど、前で脚を使っている人よりは多少は。(直線での感じから)すごい調子が上がっている。郡司君と(連係して)落車したり、大敗したりするのはしょうがないと思っている。だけど、そのこと(1月の立川記念の準決で郡司の押し上げの失格でともに落車)を言ってくれたんで、器量が違うなって思いました」
 単騎の坂口晃輔がインを進出すると、郡司浩平が外をまくって前団をのみ込んだ。
 「(松浦と吉田で)踏み合いになるかと思ったんですけど、吉田もすかさず叩きにいったんでさすがですね。吉田はやりたいレースができたのかなと。松浦を引き出して先行態勢に入らせて、自分が中団っていう流れをつくれればよかったけど。立ち遅れてしまった。初日もそうですけど、和田さんは好きに走らせてくれる。立川で落車して和田さんを巻き込んでしまったけど、少しずつ信頼関係ができてるかなと」
 坂口晃輔は、中四国ライン後位からインまくりのように押し上げていったが4着まで。脚力差を痛感する。
 「(周回中に)中団のラインが先行するかと思って、ああなったんですけど。吉田君があんなに早くとは。2車でこのバンクコンディションであんなに早く巻き返すとは。そのあとは平原さんがすごい仕事をして詰まってたんですけど。郡司君みたいに外をいって力でねじ伏せられるような脚はない。(郡司の)スピードが違いましたね」