『第4回ウィナーズカップ(GII)レポート』 最終日編

福井競輪場を舞台に開催された「第4回ウィナーズカップ(GII)」は、3月29日に最終日が行われた。決勝は、高橋晋也を叩いた清水裕友が主導権。

絶好の展開が巡ってきた松浦悠士が番手まくりで制し、優勝賞金2180万円(副賞含む)を獲得した。また、「ガールズケイリンコレクション2020福井ステージ」は、6番手からまくった児玉碧衣が完勝。昨年グランプリを連覇した女王が力を見せつけた。

コレクション出場選手特別紹介
コレクション出場選手特別紹介

 

決勝レース出場選手特別紹介
決勝レース出場選手特別紹介

ウィナーズカップ決勝戦 レース経過

 号砲で出た守澤太志がスタートを取り、高橋晋也を迎え入れて北日本コンビが前受け。単騎の和田健太郎が3番手に入り、中団に清水裕友-松浦悠士-柏野智典の中国ライン。7、8、9番手は単騎の、吉田敏洋、古性優作、原田研太朗の順で並んで周回を重ねる。
 赤板を過ぎても隊列に変化はなく、2コーナー手前から清水が一気に仕掛ける。打鐘で高橋を叩いて先行態勢に入り、中国ラインに吉田、古性まで出切って最終回へ。ハイスピードで逃げる清水に対し、6番手まで下げた高橋が2コーナーからスパートすると、清水と車間を空けていた松浦が3コーナーから番手まくりで応戦する。それでも高橋は松浦に迫ったが、松浦がなんとか振り切って、二次予選から3連勝でVを果たした。2着は高橋マークから伸びた守澤。松浦に合わされながらも、高橋が3着でゴールした。


ガールズケイリンコレクション2020 福井ステージ レース経過

 号砲が鳴り、ややスローなスタートから梅川風子が前受けを選択。以下は、尾崎睦、児玉碧衣、高木真備、石井貴子、鈴木美教、長澤彩で周回を重ねる。
 赤板手前から上昇した長澤に鈴木が続いて、1センターで3、4番手に入る。下げた児玉の後ろは、高木をすくった石井と高木で併走に。外側の高木は打鐘から追い上げて鈴木の前に入り、隊列は一本棒になる。先頭の梅川が最終ホームから踏み上げると、6番手の児玉は2コーナーから反撃開始。3番手の長澤と4番手の高木は前と大きく車間が空いていたが、児玉が猛スピードで前団に迫り、ピタリと続いた石井を振り切って優勝を飾った。2着は児玉を巧追した石井。3着には、最終バックで梅川の番手からまくり出した尾崎が入った。


<6R>

中村浩士選手
中村浩士選手
 松本貴治を押さえた坂井洋が主導権。7番手で反撃のタイミングをうかがっていた岩本俊介は、坂井のペースを判断して打鐘の3コーナーで踏み上げる。岩本が最終ホームで叩いて先行策。南関ラインが出切り、4番手以下は車間が空いて山田庸平がまくり追い込むも前は遠い。押し切り図る岩本を中村浩士(写真)が、わずかに交わして千葉ワンツー。
 「後方待機になるところを(坂井の)仕掛けが遅かったんで(岩本が)叩き返した。すごい掛かりだったし、これを来れるのは清水(裕友)君あたりじゃないかと。自分は(今回は)結構、練習ができたんで、今後が楽しみですけど(3日目まで)444着じゃ…」
 「予定通り、いいところで行けた」とは、岩本俊介。ムダ脚を使わず後方で溜めてからの一撃がさく裂した。
 「(関東ラインへの)スイッチングのイメージが、あんまりなかったんでああなりました。初日、2日目は自分の思っている展開でできたのに、準決が悔しかった。ああいうのが一番良くない。今日(最終日)は力勝負ができた」

<8R>

山本伸一選手
山本伸一選手
 併せ込んだ稲毛健太が赤板で下げたのを確認した宮本隼輔は、赤板2コーナーから踏み込んでハイペースで駆ける。打鐘から稲毛も巻き返すが、宮本が合わせて主導権を死守。目標が不発になった山本伸一(写真)は、4番手で一呼吸おいてまくり追い込みで突き抜けシリーズ3勝目を挙げた。
 「(稲毛)健太が不発になった時の対処が甘かった。不発になった瞬間に自分は外を踏む準備をしたけど、そのあとすくわれてしまった。キメにいかないとって思ったら松岡(健介)さんだった。(シリーズ3勝を挙げて)脚の感じはいいし、練習の方向性も間違ってない。今回は結果につながったけど、上を見据えてもっと課題をみつけて取り組んでいかないと」
 4着に沈んだものの、宮本隼輔は力勝負の積極策でレースを支配した。
 「出たとこ勝負っていうのもあったけど、早めに動いて(近畿勢に)フタをした。北日本勢が前を取ったんでああなりました。あとはもうちょっと引きつけても良かったかもしれません」

<9R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 児玉碧衣(写真)が女王の力を見せつけた。レースは正攻法の梅川風子が後続の出方を確認しながら先行策に出る。2番手の尾崎睦は最終2コーナーからまくるが、6番手で構えていた児玉もほぼ同じタイミングでスパート。抜群のスピードで前団をとらえて人気に応えた。
 「優勝しないとガールズグランプリの出場が厳しいと思っていたので、勝てて良かった。梅川さんのスタートは想定外でした。自分で仕掛けて行って、詰める勢いで行けたのが良かった。けっこうスピードに乗れていたから乗り越えられるなって。しっかりバイク誘導とかで練習をして、タイムも出ていたからモチベーションも気持ちもいい状態でここに来られた。プレッシャーを感じていたぶんも力に変わったかな。あとは残りのコレクションをすべて取らないとって。ダービーは出られないので、オールスター、競輪祭としっかり獲らないと。ファン投票もよろしくお願いします(笑)」
 児玉のまくりを追いかけた石井貴子は、交わせず2着。
 「差せなかった。3月に入ってからの準備が失敗でした。トレーニングはしていたけど、体のトラブルがあったりで。年が変わってからはここを目標にしてきたんですけど。(児玉)碧衣ちゃんは強いし、風の強い重たい時にさらに強さを発揮しますね。勢いをもらっていって、生かせなかったのは悔しい。最後方だったのも遠いなって思って少し焦りました。自力で行けるようにしないとって課題はあるので、次に向けてまた頑張りたい。もう2着は嫌なので」
 2番手から先まくりを打った尾崎睦は、のみ込まれて3着に。
 「初手でいい位置を取れたけど、自分のタイミングで仕掛けて行きました。自分のやってきたことをしっかり出し切りたかった。やることはやったので」
 逃げた梅川風子は4着に敗れた。
 「スタートを取るつもりはなかったけど、自分が頭ひとつ抜けていたので。前を取った時点である程度、腹をくくりました。すべて出し切ると末を欠いちゃうので、8割くらいで行ったけど…。尾崎さんも仕掛けてきますよね。仕方ないです」

<10R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 打鐘過ぎに柴崎淳が主導権を握って、郡司浩平(写真)は4番手に下げる。反撃のタイミングをうかがっていた7番手の新山響平は、4コーナーから仕掛ける。新山が好スピードで前団に迫る。中団でかぶった郡司だっただが、外の大槻寛徳を張りながら新山の上をまくってラインで上位を独占した。
 「本当は新山が来たところを合わせて行きたかった。でも、(態勢が)まだ整ってなかったんで、(新山が)行ったところをと思ったら止まった。(大槻を)弾きながら出て行ったけど、締められたら落車までありましたね。脚力的には悪くないけど、このクラスだとみんな脚力は変わりないんで、位置取りだったりタイミングでいかに相手をやりにくくするかですね」
 郡司との差を詰めることができず、諸橋愛は1車身のまま2着に流れ込んだ。
 「付いてるだけだったし、今回は1着を取ってないんで(足の)影響はありましたね。次までにつくり直したい」

<11R>

稲川翔選手
稲川翔選手
 赤板過ぎに切った野原雅也を小松崎大地が打鐘前に叩いて出る。前受けから8番手まで下げた松井宏佑はすかさず反撃。これに武田憲祐は離れ、最終ホームで叩き切った松井の後位に小松崎がはまる。6番手の位置を確保した野原が最終2コーナーから好回転でまくると、続いた稲川翔(写真)が鋭く追い込んだ。
 「結果的に良かったけど、(野原)雅也はもっといいレースができる選手。期待していたぶん、いいレースでしたけど、はっきりとした強さをもってくれたら。(自分自身は)まだやりたいことが多いけど、半年前とは違う感じ。手応えがないことはないかな。これから徐々に上げていきたいです」
 最終2センターで村上博幸をさばいた佐藤慎太郎が、直線で伸びて2着に食い込んだ。
 「余裕はないですけど、ギリギリのところですね。(小松崎)大地が頑張ってくれたし、キツかったと思う。最後は力を振り絞ってですよ。(シリーズ通して)チャンスが来るのかなっていうのがある。チャンスが来た時に(勝負できる)脚を作っておかないと。こういう舞台だとちょっとしたミスが準決になるとつながってくる。感覚の部分とか組み立て直します」

<12R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 松浦悠士(写真)が、2度目のビッグ制覇を果たした。レースは初手で4番手の清水裕友が、赤板の2コーナーから一気に踏み込んで主導権を取る。単騎の吉田敏洋、古性優作がこのラインを順に追って4、5番手に。前受けから6番手まで下げて態勢を整えた高橋晋也が2コーナーからまくり上げると、松浦が3コーナーから番手まくりを敢行。直線で詰め寄った守澤太志を1/4車輪振り切った。
 「ラインの力のおかげ。キツかったけど、なんとか押し切れた。清水君が先行してくれたことと、高橋君が見えた時に自分が前に踏んで柏野(智典)さんがヨコに動いてくれたおかげ。本当にラインのおかげです。(無観客開催は)過去にミッドナイトも走ったことがあるので、モチベーションに影響はないが、お客さんの声援がないのはさみしい。清水君の番手はグランプリ以来だったけど、頼もしくて信頼できる背中だなって思いました」
 高橋のスピードをもらって突っ込んだ守澤太志は、わずかに届かず2着。
 「もしかしたらって思ったけど、届いてなかったですね。高橋君は良く仕掛けてくれたし、強かった。余裕もあるんでしょうね。もうちょっとでした。頼もしい後輩が出てきたなって思うし、今後も楽しみです」
 ビッグ初挑戦で決勝まで駆け上がった高橋晋也は、臆することなく仕掛けて3着。
 「突っ張ろうか迷ったけど、自分達は2車だったし、4番手を狙っていった。単騎の選手が来たけど、6番手に入れた。清水君がバックでタレたところで一気に行きました。タイミング的にも良かったと思う。2センターくらいでは交わせるって確信があったけど、松浦さんに盛り返された。悔しかったけど楽しかったです。次につながるレースはできた。また明日からトレーニングです」

次回のグレードレースは、4月2日~5日まで高知競輪場で、高知競輪場開設70周年記念「よさこい賞争覇戦」が開催されます。S級S班では昨年のグランプリ王者佐藤慎太郎選手が出場します。また、GI戦線を賑わしている、浅井康太選手や三谷竜生選手も出場します。
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