『青森国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)レポート』 初日編

第11回国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)が6月11日に幕を開けた。

朝から強い雨が降りしきる生憎の天候となったが、バンク上では熱戦が繰り広げられた。

メインの特選は齋藤登志信が直線でシャープに突き抜けて1着。高配当を演出した。

2日目は二次予選A、Bの計7個レースで準決勝への勝ち上がりを争う。

<1R>

竹村勇祐選手
竹村勇祐選手
 打鐘前に出た河村雅章を小原丈一郎がすかさず叩いて主導権を握る。飛び付いた河村をさばいて番手を死守した竹村勇祐(写真)が鋭く追い込んだ。
 「(小原が)強いのは分かっていたけど、走りは未知数なので、S級の独特の流れに乗り切れない可能性もあるかなって思ってました。もうちょっと勢い良く出切ってくれれば(小原と)ワンツーが決まったかもしれないけど、出切ってくれたので。(河村との併走は)キツかったですね。最近は落車が多かったんですが、1着が取れて良かったです」
 S級デビュー戦の小原丈一郎は逃げて3着に敗れた。
 「やっぱりA級とは全然、違いますね。もっと勢い良く出切れれば良かったけど、出切る前に考えてしまって…。とりあえず先行できたのは良かったんですが、最後は粘れなかったです。緊張はしなかったし、やることはやれました」


<2R>

 打鐘で橋本智昭が一気に飛び出して主導権を取る。6番手に置かれた高橋築だったが、2コーナー入り口からまくり発進。合わせて3番手から川越勇星もまくるが進みが悪い。力強く前団を飲み込んだ高橋が後続を振り切った。
 「前を取っていけるところからって感じでした。前回から中3日で練習があまりできなくて、不安があったけど、(1着を取れて)良かった。踏み出した感じとかはいつも通りですね。ワンツーを決められて良かったです」
 藤田竜矢は高橋に迫るも交わせず2着。
 「(高橋君が)いいところで仕掛けてくれたし、うまかったですね。ヨコできる人たちがいたので、追走の部分でそこはしっかりとしようと。抜ける感じはなかったですね。ただ自分の脚は前回よりいい」
 武井大介は2センターで柿沼信也をどかしてコースを作ると直線で伸びて3着に入った。
 「復帰2場所目なので、調子どうこうではないですよね。川越君が切って(橋本君を)出させてと、レースは簡単だっただけに橋本君をまくってほしかったですね。練習はやっているので実戦で成績を残したいですね」


<3R>

飯野祐太選手
飯野祐太選手
 箱田優樹、中島将尊の両ラインでもつれたところを酒井雄多が打鐘前からカマして主導権を握る。4番手以下は車間が大きく空いて完全に福島勢のペース。番手絶好となった飯野祐太(写真)が車間を空けてガードしてから追い込んだ。
 「酒井のおかげですね。思いのほか落ち着いていたし、流さないで駆けてほしいって思っていたら、その通り踏んでくれました。ラインで決まるように、(別線のまくりが)来た時はしっかり止めようと。そこはしっかり考えてました。常に練習はできているので状態はいいです」
 逃げた酒井雄多は3着。福島ラインを上位独占に導いた。
 「びっくりするくらいカマシ頃になりました。イエローラインを下って駆けられました。400メートル踏んだので、最後はヘロヘロでした。3月松山記念で落車して4月は良くなかったけど、そのあと1カ月半くらい健康な状態で練習できたので、それが身になってます」


<4R>

 周回中に古川宗行にフタされた眞杉匠だったが、古川が打鐘で前に出るとすかさず叩き返して先頭に立つ。眞杉の番手の小原唯志は、最終ホームで早めに巻き返してきた庄子信弘を外に振ってけん制すると、番手絶好態勢のまま迎えた直線で鋭く差し切った。
 「眞杉君が先行してくれて良かった。自分はもうちょっとやりようがあったかなと思う。もっと車間切ったりとか、まだまだ番手は難しい。番手を回って前とワンツーが決まったのは初めてかな。ただ、番手よりも自力の方が良いね。前と呼吸を合わせたりするのは難しい」
 眞杉匠が2着に逃げ粘る。
 「フタされるのは予想できたし、引かないと決めていました。もがいた距離が短かったしペースで踏めた。出し切る競走ができた。雨は好きじゃないけど、バンクは走りやすかった。脚は問題ないし、出し切る競走を心がけたい」


<5R>

新田康仁選手
新田康仁選手
 前受けの真船圭一郎が中団から上昇した相川永伍を赤板で突っ張る。その上を内山雅貴が勢いよく飛び出して打鐘から先制。内山がハイペースで駆けて別線を離すと番手の新田康仁(写真)は車間を空けて援護する。内山はゴール前でいっぱいになり、新田が鋭く抜け出して白星をつかんだ。
 「出切った時点で巻き返してくる人がいないので、ペースでと思ったら、(内山が)ハイペースで踏んだ。レース後に聞いたら緩めると踏み上がらないと言っていたのでこれがあいつのベストだったみたいですね。真船君が離れているのが見えたので引き付けてと思って。残せると思ったけど、2センター過ぎて真船君が外を伸びてきてしまったので、そうなれば、踏み負けて飲まれると思ったので、前へ踏ませてもらった。弟子(内山)の頑張りにも応えてあげたかったし。弟子の頑張りは凄いうれしかった。弟子とS級で連係する夢がひとつ叶いました。脚も悪くない」
 藤竜也は新田にピタリと続いた。
 「別線がやり合うのを見極めて落ち着いて仕掛けてくれた。出切って決まったと思いましたね。自分は内を締めるぐらいで、あとは菊地(圭尚)君に入ってこられないように意識していた」
 相川永伍は真船に突っ張られるも、7番手に下がって立て直すと、内へもぐり直線で伸びて3着に入った。
 「赤板過ぎに切って4番手の位置を取ってからが勝負と思ったら、真船君が切らしてくれなくて。内山君も師匠を連れて踏み上げていたので、後ろには申しわけないと思ったけど、行けないと思って内へ入っていった。一応、確認しながら入っていった感じですね。真船君が2センターで外を踏んでくれたからコースが空きましたね。開催中止の間に普段とは違う練習をしたら、凄い弱くなって、立て直すのにここ何場所かかかってしまった」


<6R>

蒔田英彦選手
蒔田英彦選手
 打鐘過ぎに鈴木謙太郎を叩いて出た蒔田英彦(写真)はすかさず反撃に出た伊東翔貴を1車受けて番手をキープ。車間を詰める勢いで早めに追い込み、南関ラインで上位独占を決めた。
 「誰も来なければペースで駆けようと思っていたんですが、ちょっと距離が長いかなって迷っていたところに(伊東が)来てくれたんで恵まれました。最高の流れでした。ただひとつ伊東君が思った以上にかかってましたね。そこだけが誤算でした。バックを取るくらいで車間を詰めようと思っていたんですけどね。苦しかったけど青森は本当に相性がいいです」
 武田憲祐がきっちり2着に流れ込んだ。
 「蒔田君は先行するつもりでジャンから踏んでくれました。伊東君が1車だったので、あとは冷静に。そのあとにまくりも飛んで来なかったし、流れがすべて南関に向いてくれました。もう少し(蒔田と)ゴール前勝負したかったですけどね」


<7R>

 打鐘で前に出た坂本周輝は、別線の動きを警戒してなかなかペースを上げない。しびれを切らした山中秀将は7番手から最終ホーム目がけて仕掛けて、合わせて踏み上げる坂本をバックでは飲み込んでしまう。3コーナー過ぎにはライン全員で出切って南関勢で上位を独占した。
 「自分の仕掛けられるタイミングで行こうと思っていた。もう少し立ち上げてくれるかと思ったけど、流していたし、いま仕掛けないと後々厳しいと思い仕掛けた。前回の2日目の(打鐘でカマした)レースが今回に繋がったと思う。気持ちの面で楽に走れた。ケガをして(体は)元通りにはならないが、今あるもので戦わなければいけない。その中でも前回と状態は変わらないと思う」
 成清貴之がゴール前迫って2着。
 「山中君が全開のまくりだったら俺と(白戸)淳太郎はいなくなっていたと思う。様子を見ながらの仕掛けだったし付いて行けた。付いて行けるか、行けないかの勝負だと思っていたし、付いて行けたのは収穫です。状態は前回と変わらず良いし、(差せなかったのは)山中が強かっただけです」


<8R>

蕗澤鴻太郎選手
蕗澤鴻太郎選手
 蕗澤鴻太郎(写真)打鐘を目がけて一気に踏み上げて先制する。最終ホームで反撃に出た佐藤博紀をきっちり合わせ切った蕗澤がそのまま力強く押し切った。
 「中田(雄喜)さんが勢い良く切って単騎の人たちが付いていかなかったので、様子を見て車間を空けて打鐘のところで仕掛けた。最終ホームで佐藤博紀さんが仕掛けてきたのが見えたので、出させないように踏んだ。かかりも脚の感じも悪くなかったと思う」
 番手絶好の柴田洋輔は交わせずに悔しがる。
 「蕗澤君が中田君の上昇に付いていってくれれば、楽だったから少しヒヤヒヤした。あそこから蕗澤君が逃げて差せないのは悔しい。でもいまはこんなものなのかな。佐藤博紀君が巻き返してきたのが見えたけど、1センターで合うなと。蕗澤君も余裕があったし、強かった。あれで抜けないのは…。でも2車は難しいですね」


<9R>

山下渡選手
山下渡選手
 伊早坂駿一が打鐘前に加賀山淳を叩いて逃げる。これで絶好となった山下渡(写真)が鋭く追い込み、久々の勝ち星を挙げた。
 「伊早坂のおかげで1着を取ることができました。前に出る時にビリビリしたし、いいダッシュでした。2コーナーからまた加速したので、このスピードではまくられないと思った。後ろを見る余裕がなくて、ずっと後輪を見ながらですね。もう少し余裕があれば良かったですね」
 中団をキープしていた加賀山淳がまくり追い込んで2着に。
 「伊早坂は先行したら強いですからね。絶対に来ると思っていたので、この組み立てになりました。宗景(祐樹)さんが離れかけていたので、ヤバイと思って仕掛けました。1車ぶんスッと入れたからラッキーでした」


<10R>

 隅田洋介が切った上を、打鐘前に藤根俊貴が叩いて先制する。中団からまくりを狙った隅田は開坂秀明のけん制もあって勢いが鈍り、藤根が力強い踏み直しで押し切った。
 「前受けからでも良かったが、近藤(隆司)さんがポーンと出たので中団からの組み立てになりました。踏む距離が長くなったが、近藤さんならそんなに早くは来ないだろうと思って自分のペースで駆けられた。腰はもう不安はないし、脚も上がっていた。もう少しスピードはほしいがこのレースは自信になる」
 開坂のけん制を受けた隅田洋介だが、粘り強く外を踏み続けて2着に入った。
 「敵が強いので1回動いてからと思っていたが、ズルい競走になってしまった。まくり切らないとダメですね。きれいにまくり切らないとラインで決められないので。1回ブロックをもらっても我慢して踏めているので状態はいいと思う」


<11R>

 後ろ攻めの山本紳貴が上昇して赤板過ぎに先頭に立つ。最終ホーム4番手から反撃に出た阿部拓真が2コーナーで山本の抵抗をねじ伏せる。後方からまくり上げた人気の河合佑弥は不発。阿部の番手で絶好展開を迎えた竹山陵太が鋭く抜け出した。
 「余裕があったので、阿部君を2着に残したかった。(菅田)壱道君や(阿部)力也と練習したり、1日2回練習やるようになって脚の感じがいい」
 江守昇は目標の山本が叩かれると竹山後位にスイッチして2着に入った。
 「うまくいったはずだけど、すかさず阿部君がきたのが誤算。いつもは中を踏むけど、行けると思ったのと後ろが近藤(俊明)君だったので外を踏んだ。そしたら思ったより踏めて感触はいい」
 阿部拓真は最終ホームから山本を叩くも直線で末を欠いて3着に。
 「山本さんが踏んだので、中団確保からと。ホームで緩んだので、そこで河合君に仕掛けられてかぶるのが嫌だったので行った。出切ってからは必死で、平沼(由充)さんが離れているのは気が付かず。出脚は良かったけど、あとは末脚。開催がない中で、体も癒えて練習もできたことで、徐々に良くなってきた」


<12R>

齋藤登志信選手
齋藤登志信選手
 前受けから8番手まで下げた山賀雅仁が打鐘の3コーナーからロングスパート。最終1コーナーで高橋陽介を叩き切る。後方からまくり上げた長島大介を高橋が外に弾くと空いたコースを齋藤登志信(写真)が鮮やかに突き抜けた。
 「久々で不安しかなかった。年齢的なものもあるけど、それはみんな一緒ですから。前の動きがあって自分も行けた。1人ではなくて全体の動きがあったから。今日(初日)よりも明日(2日目)は落ち着いて走れると思う」
 山賀の番手で絶好となった渡邉晴智は2着。
 「久々の競輪でうれしかったけど、それ以上に緊張しました。走れたことに感謝してます。(山賀が)行ってくれましたね。ダッシュも良くて、キツかったです」
 2カ月ぶりの実戦となった小野大介も3着で確定板に上がった。
 「(北日本ラインの)4番手を選択したんですけど、落ち着いて走れました。道中も余裕があって、バックでは脚がたまってました」