この日は東日本大震災から丸9年だった。検車場では1分間の黙とうをするなど、いつもと違う空気感があった。

予選5Rに出走する猪狩祐樹(32=福島)は「実は僕は原発の近くで練習していたんです。事故の瞬間を見ました。本当にびっくりしました」と驚きの告白をした。

当時、選手間では『猪狩が消息不明』とのうわさが立ったそうで、言葉に表せないほどの現実だったようだ。「今、ここに走っていれるのはうれしい限り。自力を基本に勝てるように全力投球です」と激走を誓った。