『佐世保競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 最終日編

佐世保競輪場で開催された開設69周年記念「九十九島賞争奪戦(GIII)」は、
12月8日に最終日が行われた。決勝は8番手からまくりを打った太田竜馬が、
鮮やかに突き抜けて通算4度目の記念制覇を遂げた。

また、「レインボーカップチャレンジファイナル」は、脇本勇希がまくり追い込みで一発勝負を制した。脇本を含めた岩谷拓磨、小原丈一郎の上位3選手が、A級2班への特班を決めた。

決勝戦 レース経過

 ゆっくりとしたスタートから小倉竜二が誘導員を追うと太田竜馬-小倉の徳島コンビが前受け。以下は山中秀将、吉田拓矢-井上昌己-小川勇介、野原雅也-古性優作-村上義弘の並びで周回を重ねる。
 野原の上昇に合わせて赤板ホーム前から踏んだ吉田は1コーナー手前で太田を叩くと、野原を受けて中団を確保する。打鐘過ぎまでペースを落とした野原は4コーナーから踏み上げていくが、そこに単騎の山中が最後方からのまくりで猛然と襲いかかる。山中はバック手前で古性に並びかけるが、古性はこれを張りながら番手まくり。山中を目がけてバック過ぎから外に持ち出した吉田も山中のあおりを受けて伸び切れない。山中、吉田を合わせ切った古性に村上が続いて4コーナーを立ち直ったが、2センター、8番手から外を回した太田がイエローライン付近を一気。9月岐阜以来、通算4度目の記念優勝を飾った。


太田竜馬選手
太田竜馬選手

 “ケセラセラ”。流れに身を任せた太田竜馬(写真)が、8番手からのまくりで優勝をさらった。
 「(野原雅也、吉田拓矢の)どっちが先行するかわからなかった。後手を踏んでもどこかで行くだろうし、どっちにしろ僕らは待ち。(野原、吉田)2つの機動型があって、相手頼みの戦い方だった」
 近畿3車を出させる形で、吉田が4番手に入って打鐘を迎える。太田は7番手。最後方にいた単騎の山中秀将がしびれを切らせて、打鐘の4コーナーから仕掛ける。それでも太田は動じず、最終ホームではブレーキをかけて態勢を立て直した。
 「緩んで自分がバックを踏んだ時に(山中が)来たので反応できなかった。あの展開だといらんことをしてもダメですから。こんな失敗は何回もしてるんで焦らないでと。変に浮かないようにと思ってた」
 最終バックから踏み出したものの8番手で前は遠い。しかしながら、番手まくりで山中を合わせてそのまま上位独占を図る近畿勢を、太田がゴール前で仕留めた。
 「(最初は)全然届く感じはなかった。4(コーナー)くらいですかね、届くかなって思ったのは。スピードの乗りも良かったし、(4日間で)一番良かった」
 2月の高松で記念を初制覇。7月には4連勝で地元の小松島を制すと、9月の岐阜に次いで、今シリーズ4度目の記念Vを飾った。
 「今年ですか? ごっつい飛躍できた。記念を獲るのが第一の目標だった。それを達成できて4回も。去年からしたら、考えられない」
 自身の記念Vだけではなく、3月の玉野記念の阿竹智史、松山記念の渡部哲男を優勝に導き、中四国地区躍動の大きな力となった。
 「来年はGIで活躍できるように。(GIだと)自滅することが多いんで、それをなくします。決勝に乗らないと、獲ることはできない。まずは決勝。(来年は清水裕友、松浦悠士の)S級S班が2人もいるのは、中四国の強み。自分も置いていかれないように」
 来年はS級S班の清水、松浦とのタッグも増えそう。それだけに中四国地区の浮沈の鍵を握る存在だが、気負うことなく余分な力を抜いている。

 逃げる野原の番手の古性優作は、山中を外にけん制してから自力に転じて2着。
 「(山中が)まくってきたのも見えたし、張ったら止まるかと。そしたらもう1回伸びてきたんで、出るしかなかった。難しかった」

 村上義弘は、古性の判断を待って冷静に対処した。
 「山中君は後ろに入ってると思ったけど、もう追いつきざまに来てたんでスピードが違った。あとは(古性が)後ろにスイッチするのかどうかだった」

 太田マークの小倉竜二は、最終ホームで太田の横まで差し込んだのがすべてだろう。太田を追いかけるも5着が精いっぱい。
 「太田君は(仕掛けた山中に)付いていくくらいの感じ踏んでくれたら良かったけど。自分はもう(最終)ホームでバック入れた時点で…」

 

9R レインボーカップチャレンジファイナル

太田竜馬選手
脇本勇希選手

 9人全員が単騎の115期同士による一発勝負は、赤板過ぎからレースが動き出し入れ替わりの激しいレースになった。最終ホーム手前から踏み込んだ石井洋輝が、最終的に主導権。後位が小畑勝広と岩谷拓磨で併走。2コーナー手前から野上竜太がまくり上げると、岩谷も合わせてまくる。野上は3コーナーでいっぱい。野上を追った脇本勇希(写真)が、まくり追い込みで激戦を制した。
 「作戦は考えたら(キリがないんで)…。(逃げることも)考えたけど、みんな強いから付いてこられる。勝ちにこだわったし、勝つんならこれしかと。溜めるだけ溜めて、最後に持ち込もうと。(野上なら)行くだろうと思って付いていったけど、(最終)3コーナーで止まった。それで行かなアカンと。(A級2班になってからも)内容を重視したレースをしたい。そうじゃなきゃ上(S級)にはいけない。これで(S級S級班の兄、雄太に)一歩近づけたかな」
 「先行についていってまくる。その通りになった」とは、岩谷拓磨。地元地区からただ一人の参戦で見せ場をつくり、2着でA級2班への特班を決めた。
 「イケるかなと思ったんですけど、3番(脇本)がすごい勢いで来た。(3.)79のギアの軽さが出てしまった。それも(もっと重いギアを)回し切れない自分が悪い。(A級2班に)上がってから、しっかり先行したい」
 脇本のさらに上をまくった小原丈一郎だったが、脇本に合わされて3着が精いっぱい。
 「(仕掛けて)出るタイミングが遅くて、脇本君と合ってしまった。本当は優勝が良かったけど、このチャンスをしっかりと生かせた。(特班して)9車になっても、しっかり先行、まくりでやっていきたい」


 
12月12日~15日まで広島競輪場において開設67周年記念「ひろしまピースカップ」が開催されます。
三谷竜生、村上義弘のS班2名に、諸橋愛、菅田壱道ら強豪が顔をそろえる。宮本隼輔、小林泰正らフレッシュな自力型も参戦するだけに、勝ち上がり戦から激しいスピードバトルが繰り広げられよう。
また、最終日の15日9レースにはレインボーカップA級ファイナルを実施。
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