『佐世保競輪開設69周年記念(GIII)レポート』 3日目編

 佐世保競輪場で開催されている開設69周年記念「九十九島賞争奪戦(GIII)」は、
12月7日に3日目を迎えた。ファイナルをかけて熾烈な戦いが繰り広げられた準決では、
地元でシリーズの主役を務める井上昌己、S級S班の村上義弘らが白星で優出した。いよいよシリーズも大詰め、
8日の最終日には、決勝のスタートが切られる。また、9レースではA級2班への特班をかけて
レインボーカップチャレンジファイナル」が、一発勝負で行われる。

 本場では8日の最終日も、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。安田大サーカスのクロちゃん&HIROのお笑いステージショー、仮面ライダーゼロワンのキャラクターショー。先着プレゼント(100人様)、2020年全国競輪選手カレンダーを先着100人様にプレゼント。未確定車券抽選会、写真家の中倉壮志朗氏の写真展、“グルメカーがやってくる!”などが予定されています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<10R>

小川勇介選手
小川勇介選手

吉田拓矢選手
吉田拓矢選手
 赤板2コーナーで押さえて出た戸田康平が緩めると、7番手の吉田拓矢が仕掛ける。戸田も懸命に合わせるが、吉田が好スピードでのみ込む。小倉竜二が和田健太郎を大きく外に張って、単騎の小川勇介(写真)がインをすくい吉田を追う。小川がゴール前のハンドル投げで吉田を交わした。
 「一人だったしメンバーもいいんで、レースの中で判断していこうと考えていた。小倉さんとバッティングしてもしょうがないんで、うまく対応できたと思う。大怪我をしてからなかなか調子が上がらなかったけど、前回くらいから上向いてきた」
 ラインの援護を失った吉田拓矢(写真)だが、スピードは衰えず2着に粘り込んだ。
 「小川さんが3番手にいてくれたのが大きかった。ただ、和田さんと決めたかったですね。戸田さんが思いのほか掛かっていて、和田さんが小倉さんにからまれる形になってしまった。今回は優勝するつもりできているので、とりあえず決勝に乗れたのは良かった」
 和田を止める大立ち回りを見せた小倉竜二は、復帰2場所目でらしい動きを見せた。
 「ジャンで戸田君が出るのに脚を使ってペースを上げたぶん、吉田君が行きやすくなってしまった。小川君は内を狙ってましたね。自分はヨコの動きができるようになっているんで良くはなっている」


<11R>

村上義弘選手
村上義弘選手

古性優作選手
古性優作選手
 中団の外併走から反撃の時をうかがっていた太田竜馬は、打鐘の3コーナーで踏み上げる。最終ホームで太田が主導権を奪うが、濱田浩司は付け切れない。車間が空きながらも、古性優作が追いかける。4コーナーで追いついた古性を村上義弘(写真)が外から追い込んで9月地元の向日町記念以来の1着。
 「動きにいく手前の感覚からすれば、最後の伸びはもう少し欲しいですね。二次予選が終わったあとにも話したけど、少しずつ兆しがみえてきているような気がする。一番いい時の状態を追い掛けるのが仕事とも思っている」
 執念で太田に追いついた古性優作(写真)は、苦しそうな表情で息を整える。完調ではないものの、気持ちの入ったレースでさすがの立ち回りを披露した。
 「太田君の仕掛けに合わせられるなら、合わせた方がいいと思った。でも、合わせられなかった。あれでバックでまくれたらいいけど、そんな感覚でもなくていっぱい、キツかった。抜きにいく時の感覚も追いついて抜けたって感じですね」
 近畿の2人にわずかに交わされた太田竜馬が3着。
 「2日目までよりはマシな状態ですね。とりあえず決勝に乗れて良かった。古性さんに駆けられるとモガき合いになるので、仕掛けるならあのタイミングしかなかった。後ろの状況はすぐにわかりました。全部がギリギリ。終わり良ければすべてよしの気持ちで決勝は走りたい」


<12R>

井上昌己選手
井上昌己選手

山中秀将選手
山中秀将選手
 小松崎大地の上昇に合わせて動いた野原雅也が4番手を確保して、山中秀将は後方から反撃のタイミングを計る。ペースを握る小松崎が別線を引きつけると、山中が打鐘の2センターから仕掛ける。同時に野原も踏み込んだ。山中を強烈なダッシュで合わせた野原が、小松崎をとらえて井上昌己(写真)も続く。3番手がもつれて、番手の井上が余裕をもって抜け出した。
 「(野原が)強かったですね、(まくりに)構えるのかと思ったけど(あそこで仕掛けるのは)さすが近畿の自力屋。ワンテンポ遅かったら(山中に)行かれてた。自分は小松崎君が上がってきたら危なかったけど、そこもなんとかしのげた。初日はちょっと(体が)重いかと思ったけど、日に日にですね」
 ダッシュ鋭い山中を合わせ切って2着に残った野原雅也は、持ち味を出して決勝にコマを進めた。
 「決勝に乗れてるんで、(状態は)いいんじゃないですか。8月は102点くらいしかなかったんで、それから考えたらデキすぎです。(準決は)タイミング的には紙一重でした」
 3位入線の小松崎が失格で、山中秀将(写真)が繰り上がった。
 「野原君は先に切って中団取りに来たんで、早めの仕掛けはないかなと。それで自分はあそこから仕掛けたんですけど、同じタイミングで仕掛けてきた。初日、2日目のレースがあったからこそ、早めに行っても3着までに残れると思った。最後まであきらめないで良かったけど、僕のラインの上原(龍)さんと岡(光良)さんが落車してしまったので…」


<最終日・9R レインボーカップチャレンジファイナル>

南蓮選手
南蓮選手
 A級2班への特班をかけた一発勝負は、9人全員が115期のルーキーで同期による出世争い。誰が勝ってもおかしくなく、力が拮抗しているだけに激しいバトルは必至だろう。
 直近の競走得点ではわずかながらトップの石井洋輝は、前回の富山FIを114着。先行した決勝は、同期の山口聖矢、脇本勇希にまくられた。
 「師匠(須永優太)と一緒に練習していたけど、師匠がレースでいなかった時は鈴木(涼介)さんと練習していた。前回(富山の決勝)は脇本さんにやられているんで、そこは意識したい」
 追加配分だった前回の地元、取手FIIで完全Vを遂げた小畑勝広が、リズム良くレインボーカップCFを迎える。
 「それまで中3日、中3日だったんで、(中12日の)今回は前回よりいい感じです。地区プロはエリミネイションを初めて走ったけど優勝しちゃいました。いまの成績は学校にいる時じゃ考えられない。(学校では)先行すらさせてもらえなかった。(デビューしてからも)厳しいなって思っていたら、ラインができて先輩たちに助けられてます。でも、やっぱりこのメンバーだとダッシュ力が足りない。単騎でも自分の良さを出したい」
 近況の決まり手がまくりに偏っている南蓮(写真)は、理由をこう説明する。
 「デビューしたころは先行が(決まり手に)付いてたんですけど。自分に余裕がなくなってる。10月に(練習で)バンクが使えなくて、自信がなくて…。(仕掛けどころでも)ここで行って(ゴールまで)もつかなとか考えて、ちゅうちょしちゃうんですよね。(3場所前の)小田原とか本当に(状態が)悪かった。せめてまくりと先行(の決まり手)が一緒にならないと。いまはまくりが9割ですから。ただ、このレインボーカップは(A級2班の特班の)権利を狙っていきます」