『大宮競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 2日目編

大宮競輪場で開催されている東日本発祥71周年「倉茂記念杯(GIII)」は、1月17日に2日目が行われた。A、Bに分かれて争われた二次予選では、最終レースで平原康多、黒沢征治、岡光良の地元3人が上位独占を果たしてそろって準決に進出。地元勢の活躍にスタンドは沸いた。
18日の3日目にはファイナルをかけて準決で熾烈なバトルが展開される。

 本場では開催中の毎日、オリジナルクオカードなどが当たるスピードくじを先着でプレゼント。選手会埼玉支部チャリティー屋台、未確定車券抽選会、解説者によるトークライブなどが行われます。また、18日の3日目には「第1回埼玉県高等学校選抜ケイリン・大宮記念杯」が、県内の高校生によって行われます。大宮競輪場では、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

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杉山悠也選手
杉山悠也選手
 一度は長尾拳太ラインの番手で粘った中島将尊だったが、最終ホーム手前で4番手に下げる。単騎の3人が7、8、9番手に置かれ万事休すかに思われた。が、中島がまくり追い込むと、8番手にいた杉山悠也(写真)は、コースを縫って直線で突き抜けた。
 「たまたまです。(最終)ホームで誰も動かなかったので、自分は前の動きを見ながらいこうと。直線でコースを探しながらいって伸びてくれた。良かったとしか言いようがないですね」
 中島将尊は、4番手確保からのまくり追い込みで2着。
 「(長尾ラインに)粘るつもりはなかったし、流れのなかでああいう動きになった。でも、あの動きがなければ、単騎の人が切り替えていて後方になっていたと思う。(準決進出に)2着権利だったので、溜めて溜めての仕掛けになった」

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林大悟選手
林大悟選手
 打鐘過ぎにじわりと押さえて出た林大悟(写真)は、4コーナーで仕掛けた坂田章に合わせてペースを上げて逃げる。坂田を不発にした林が軽快に駆けて、直線は小川勇介との勝負。番手の小川を振り切った林が1着。
 「小川さんが(最終)バック過ぎから空けてくれたおかげです。あとは落ち着いて踏むことができたのも大きい。(最終)ホームで坂田さんが来たけど、自分にとっても踏み上げやすいところだったので冷静に踏めた。持ち味を出せた」
 空けた車間を詰め切れなかった小川勇介は、林と1車身半差の2着。
 「林が強かった。いつも頑張ってくれるし、小倉の後輩だから2着権利でなんとか2人で勝ち上がりたいと思っていたけど…。お客さんには迷惑を掛けてしまった」

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鈴木裕選手
鈴木裕選手
 打鐘過ぎに勢いよく飛び出した志佐明に鈴木裕(写真)、石毛克幸が続いて、単騎の表原周まで出切る。猪俣康一は5番手に入り、最終ホームを迎える。先行態勢の志佐がペースを上げずにいると、1センター過ぎに猪俣が仕掛ける。志佐もペースを上げるが、猪俣のスピードがいい。猪俣を張りながら、鈴木が番手まくりで勝ち切った。
 「(猪俣を)止めにいってるんですけど、止まらないですよね。申し訳ない。あれだったら(志佐は)一発、カーンって行ってくれた方が良かった。初日は余裕がなかったけど、今日(2日目)は余裕があっていい感じだった」
 5番手から迷うことなく仕掛けた猪俣康一は、鈴木に合わされたものの踏ん張って2着で準決に進んだ。
 「普通に駆けてももたないし。それは志佐君も一緒だと思う。あとは自分は緩んだところで(仕掛けて)行こうと。僕がダメでも、あとは谷田(泰平)、松崎(貴久)さんの着があるようにと思っていた。前々に踏んだ結果だし、石毛君にも抜かれなかったんで、状態もいいのかなと」

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守澤太志選手
守澤太志選手
 先頭に立った新山将史もそれほどペースを上げず、5番手の松岡健介は7番手の植原琢也の仕掛けに合わせて全開で踏み上げる。最終2コーナー手前で松岡が出切り、村上義弘。守澤太志(写真)は、近畿ラインの後ろに切り替える。しぶとく外でへばりついた植原だったが、村上のけん制で力尽きる。守澤は空いた中のコースを踏んで突き抜けた。
 「苦しかったけど、植原君が止まってくれた。自分は待って待って、踏みました。この制度になってから初日特選に乗ったのも初めてだったし、連勝できたので状態も流れもいいです」
 松岡とのタッグから村上義弘が2着に入った。
 「一番ベテランの機動型(松岡)が全部組み立ててくれたし、頑張ってくれました。キツかったと思いますよ。植原君は外々を踏んできて強かった。自分は守澤君がすぐ後ろにいたのがわかっていたので、あまり大きくはけん制できなかった。付いていく分には余裕はあった」

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岩本俊介選手
岩本俊介選手
 打鐘の4コーナーで飛び出した宮本隼輔が主導権。三谷竜生は4番手で立て直し、6番手の金子哲大が最終2コーナー手前からまくる。金子、合わせてまくった三谷は不発。小川真太郎に絶好かと思われたが、8番手からのまくり追い込みで岩本俊介(写真)が勝ち切った。
 「展開が向いてくれましたね。落ち着いて踏んだら絶対届くと思っていたし、冷静に走れた。まあ内容は一番ダメでしたけど、結果的に伊勢崎(彰大)さんとワンツーが決まったので良かった。脚は問題ないですね」
 岩本にスピード負けすることなく、伊勢崎彰大が流れ込んだ。
 「後方になった時点でもう岩本と心中しようと。最近の成績がダメだったんで決まって良かったです。これで流れが変わるといいですね」

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中川誠一郎選手
中川誠一郎選手
 中部コンビを受けた中本匠栄が、3番手をキープして最終ホームを迎える。8番手まくりの山中秀将に合わせて、中本が空けた車間を詰めながらまくり追い込む。中川誠一郎(写真)の後輪に接触した山中が落車。1位入線の中川は審議対象もセーフで1着で勝ち上がった。
 「中本君が頑張ってくれた。前とあんなに車間を空けて大丈夫かなと思ったけど、誰も来てないってわかっていたね。付いていて余裕があったんで1着が取れるなっていう感じはあった。でも(山中の)落車があって失格かもとドキドキした。S班初勝利だけど(落車で)後味はよくないですね」
 紙一重でアクシデントを避けた岡村潤が2着に伸びた。
 「山中君を信頼していたから、ずっと後輪しか見ていなかった。だから前とどれだけ車間が空いていたかはわからなかったです。山中君なら行くと思っていて信じて追っていたけど、落車は運よく避けれただけ。前に中川さんがいてコースがなかったけど、(中川が)踏んでくれたおかげで届きました」

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黒沢征治選手
黒沢征治選手
 門田凌にフタをされた黒沢征治は、下げることなく中団で勝負。打鐘の4コーナーで飯野祐太が門田を突っ張り、両者の踏み合いになる。連結を外した三宅達也が追い上げると、乗った黒沢征治がその上を仕掛ける。黒沢のスピードの乗りがいい。最終バック手前で黒沢が前団を仕留めて、平原康多、岡光良の地元3車が出切る。番手の平原が楽に黒沢を交わした。
 「(黒沢は)力があるのもわかってるんでね。前まで出切れれば、あとは自分がなんとかしようと思ってた。一緒に練習をしたこともあるし、どうしようもなく強い。だから、それを競輪で出せるようにアドバイスをしていければ。地元記念の準決を走れるってなかなかないし、いい経験だと思う。自分は初日も悪い感じはなかったし大丈夫」
 「途中までは勝てるんじゃないかって思ったけど全然…」とは、平原との脚色の違いが明らかだった黒沢征治(写真)。2着もラインでの上位独占にホッとする。
 「(併走になって)踏み遅れて門田君に入られないようにと思ってたら、差し込んでしまった。それで抜くのにバックを踏んで脚を使った。(地元記念の二次予選で平原とワンツーで)良かったし、終わってみればいい経験です」