『大宮競輪開設71周年記念(GIII)レポート』 初日編

大宮競輪場で東日本発祥71周年「倉茂記念杯(GIII)」が、1月16日に幕を開けた。穏やかな冬晴れの下、初日の一次予選は見ごたえのバトルが繰り広げられた。

地元では金子哲大、岡光良、黒沢征治の3人が勝ち星を挙げた。

メインの特選では、山中秀将のまくりに乗った守澤太志が追い込んで通算200勝を飾った。17日の2日目には二次予選のAとBで勝ち上がりが争われる。

 本場では開催中の毎日、オリジナルクオカードなどが当たるスピードくじを先着でプレゼント。選手会埼玉支部チャリティー屋台、未確定車券抽選会、解説者によるトークライブなどが行われます。また、17日の2日目にはガールズグランプリを連覇した児玉碧衣選手と師匠の藤田剣次選手によるトークライブなども予定されています。大宮競輪場では、様々なファンサービスとイベントで、お客様をお待ちしています。ぜひ、本場へ足をお運びください。

<1R>

 城幸弘が押さえて出て、中団は佐藤龍二と門田凌の併走。門田にフタをした佐藤が、最終ホーム手前から仕掛けて主導権を奪取する。7番手の門田は空いた車間を詰めながらバックで前団に襲い掛かる。門田が4コーナーで先頭に立ち押し切った。
 「あそこ(打鐘過ぎ)で全部引いてしまったら、もう行けないと思った。セッティングとかは前回から何も変えてないです。指定練習の時から感じが良くなくて、変えようかとも思った。でも、変えないで正解でしたね」
 四国ライン3車で上位を独占。2着の湊聖二が振り返る。
 「必死で抜きに行ったけど抜けませんでした。これが現状です。門田は踏み出しはモコモコする感じだったけど、スピードに乗っていった」

<2R>

佐藤友和選手
佐藤友和選手
 最終ホーム手前から竹内雄作が反撃に出る。先行態勢の坂本周作も合わせるが、竹内のスピードがいい。岐阜コンビが出切って佐藤友和(写真)は3番手にスイッチ。4番手以下は離れて、前3車の勝負は直線で伸びた佐藤が1着。
 「(竹内は)坂本君が行って自分の番手まくりが怖くて早く仕掛けたんでしょうね。出切ってからは流してましたから。本当は番手をさばければよかったけど、3番手になってしまいましたね。バックを踏んだわりにはしっかり伸びたし感触はいい」
 竹内を交わした志智俊夫が、2着に入った。
 「後ろは(佐藤)友和君ってわかっていました。前も頑張っていたんで難しかった」

<3R>

和田圭選手
和田圭選手
 先頭に立った古川貴之がペースを握り、飯野祐太は4番手をキープ。後方に下げた志佐明は、最終ホーム手前から巻き返すが、古川もペースを上げて逃げる。飯野は志佐を外に張りながらまくり発進。飯野がバックで古川をとらえて、続いた和田圭(写真)がゴール前できっちり差し切った。
 「500バンクですしね、(別線が)どこから来るのかわからないんで、スタート以外は飯野さんに任せていました。いいところで仕掛けてくれたし、結果オーライ。ただ、後ろが(伊勢崎彰大が入ってるのが)わからなくて空けてしまったのが反省点。脚の方は問題ない」
 4番手を確保した飯野祐太は、最終2コーナー手前からまくって和田とワンツー。
 「(志佐が)引いたんで、あとは自分のタイミングでと。(最終)ホームはかぶったらどうしようもないっていうのもあったんで。何回か小刻みにダッシュしたけど、あれを1回で行ってれば(山田)敦也さんまでワンツースリーでしたね。あとはゴール前のところをもうちょっと修正できれば」

<4R>

 中団の小笹隼人にフタをした林大悟が、打鐘過ぎ2センターで鈴木謙太郎を押さえて先頭に立つ。すかさず反撃に出た小笹が最終ホーム前で主導権を取る。番手で車間を空けてけん制した松岡健介は林のまくりに合わせて最終2センターからタテに踏み込むが、7番手で脚を溜めた鈴木がその外を強襲した。
 「林君がフタをしていたし、出させる気はないのかなと思ったけど、すんなり後方になる展開になってしまいました。もうちょっと早めに仕掛けても良かったけど、松岡さんも余裕があったし、林君も脚を使わずに中団だったので合わされるのが嫌だった。ラインで決められなかったのが残念です。風はあるけど、思ったより重くは感じなかったですね」
 タイヤ差の2着に敗れた松岡健介は、浮かない表情。
 「判断が難しかった。林君のまくりは止まる感じはあったけど、(鈴木)謙太郎も脚を使っていなかったし、それが気になって早めに踏ませてもらいました」

<5R>

 赤板からゆっくり上昇した宮本隼輔が中団でフタをすると、中島将尊が引いたことで3番手に入って打鐘を迎える。7番手となった中島が一気に巻き返して主導権。合わせて踏んで4番手を確保した宮本は、最終2コーナーから好回転でまくり上げる。柿澤大貴のけん制を乗り越え、11月防府記念以来となる勝ち上がり戦での白星をつかんだ。
 「体の感じはあまり変わらず、良くないですね。早めに行ったつもりだったけど、トップスピードが足りてない。練習不足の影響かな。それでも久々に勝ち上がりで勝てたので良かった」
 柿澤の厳しいブロックを受けた三宅達也は、最終3コーナーでイエローラインの外まで持っていかれたが、最後まで懸命に踏み込んで2着を確保した。
 「脚でしのいだ。柿澤君は(大きくけん制を)やってくると思った。自分が彼の立場なら同じことをしますからね。なんとか踏み勝っただけで、練習してきた甲斐がありました」

<6R>

菊地圭尚選手
菊地圭尚選手
 打鐘の3コーナーで主導権を握った橋本智昭に染谷幸喜が襲い掛かり、最終ホームでは両者の壮絶な叩き合い。まくり展開になった八谷誠賢が好スピードで前団に迫るが、叩き切った染谷の番手から鈴木裕も自力に転じる。最後は4コーナーから外を踏んだ菊地圭尚(写真)が突き抜けて1着。10月以来の勝ち星に笑みがこぼれる。
 「やっと出ましたよ(笑)。1着が欲しいと思えば遠ざかっていくし…。1着が取れるようになってくれば、体の方も気持ちも乗ってくる。前の場所(大垣)で感触もつかめたし、(初日も)踏み込んだ感じも良かった」
 八谷に乗った松尾信太郎が、追い込んで2着。
 「八谷さんのおかげ。本当は後輩の僕が前で頑張らないといけないのに、いつも頑張ってくれる。(八谷が)まくり切ってから(鈴木)裕がずっと内にいたんで、当たられない位置にいたら脚を削られた。あれがなければゴール勝負ができてたと思う」

<7R>

金子哲大選手
金子哲大選手
 前受けから7番手まで下げて最終ホーム過ぎから巻き返しを狙った金子哲大(写真)だが、中団からまくった長尾拳太に合わされてしまう。しかしながら、坂上忠克が遅れを取り、金子は長尾ラインを3番手で追う形で態勢を立て直す。最終3コーナーから再び外を踏み上げた金子が、激しい直線の攻防を制した。
 「危なかったですね。合されると思ったし、それならもっと早めか遅めに仕掛ければ良かった。体が軽すぎてフワフワした感じがあった。休みを取り過ぎただけだと思うので、2日目以降はもっと良くなると思う」
 長尾のまくりを交わした北野武史が2着。
 「金子君は外に浮いたと思ったのにもう一度来たから驚いたけど、自分のすぐ後ろにいたんですね。それはわからなかった。その状況がわかっていたら2センターでブロックするとか、もう少しやりようがあったかな」
 先まくりで金子を苦しめた長尾拳太が3着に粘った。
 「切って北日本を出させてうまく中団を取れた。北日本は番手まくりもあると思って早めに仕掛けたし、金子さんより先に仕掛けないとダメだと思っていたので。疲れを抜いてきたので、2日目以降はもう少し良くなると思う」

<8R>

伊藤裕貴選手
伊藤裕貴選手
 打鐘過ぎに押さえようとした小林則之を前受けの伊藤裕貴が突っ張る。後方になった中本匠栄は最終ホーム前からスパート。2コーナーではライン3人で出切った。絶好のハコ展開が巡った池田良が直線で追い込んだ。
 「あの位置で中本君なら早めに行ってくれるかな思っていたけど、行ってくれましたね。(前回の落車で)自転車が壊れて今回は予備のを使ったけど、イケそうですね。乗り方を変えたのが、いい方に出ている」
 中本を受けて4番手をキープした伊藤裕貴(写真)は、早めの追い込み勝負で2着。
 「中本さんがいいスピードできたので、行かせてから落ち着いていきました。最後、もう少し伸びがほしかったけどそれは体の調整ですね」

<9R>

岡光良選手
岡光良選手
 打鐘手前で藤原俊太郎に合わせて動いた植原琢也だったが、前受けの石口慶多は突っ張る。植原は4番手に入り立て直して、最終2コーナー過ぎからまくる。逃げる石口をスピードの違いでのみ込んだ植原を、岡光良(写真)が交わして地元ワンツー。
 「危ない展開でしたけど、1着が取れて良かった。(植原は4番手に)すぐ入って立て直した。出切って(ラインで)決まったなと思ったら、小林(弘和)君が来たからヒヤッとした。自分は新車っていうのもあって、1着で良かった」
 ラインの援護もあって中団に入った植原琢也は、まくりで急場をしのいだ。
 「普通にゆっくりいったら、(石口に)全開に踏まれた。もう飛んじゃったと思った。でも、脚を使わずに浮いたんで、(4番手に入って)戻ってからは大丈夫だったんでそのまま行けた。調子が良くないわりにはですね。2日目を乗り切れば、3日目は良くなると思う。あとは(気持ちが)入り込まないと」

<10R>

 久保田泰弘、新山将史の順で切って前に出る。中団に収まった久保田が内をすくって前団がもつれたところを岩本俊介が、最終ホーム前から一気に仕掛けて主導権を握る。そのままグングン加速した岩本は番手の岡村潤の猛追を振り切り、先頭でゴールを駆け抜けた。
 「新山君が切ってくれたのもありがたかったけど、もつれとかは気にしてなかったですね。一番積極的なのは自分だと思っていたし、しっかりラインで出切ることだけを考えていた。内に詰まるとか負けパターンにはならないようにと考えていた。ゴール前はラインの味方でも勝負だと思っているし、そこを踏み勝てたのは大きい」
 岡村潤はゴール前迫るも交わせなかった。
 「(岩本)俊介は仕掛ける時にバックを踏んでから仕掛けたからそこがキツかったですね。あと俊介が踏み直したタイミングで自分はガチャ踏みになってしまった。それでも500バンクなので抜けても良かったとは思うけど…。それだけ俊介が強かったってことです」

<11R>

 打鐘の2センターで猪俣康一との併走になった黒沢征治は、タイミングを取って4コーナーで踏み込む。木村幸希からあっさり主導権を奪うと、二の足で後続を完封した。
 「木村君が行ったところで1回休めたのが大きかった。そのおかげで最後も踏み直す余裕がありました。緊張はありましたけど、結果を出せたのでそれがなによりです。ラインでも決まったのでうれしいです」
 黒沢マークの神山拓弥は、半車輪まで詰めたところがゴール。
 「(最終)2コーナーから踏み上がっていくし、付けやすくて援護しやすいタイプ。外併走になっても落ち着いていたんで頼もしい。普通なら差せたはずだけど、初連係は難しいですね」

<12R>

守澤太志選手
守澤太志選手
 三谷竜生を打鐘の4コーナー押さえて出た小川真太郎が、ペースを落として最終ホームを迎える。緩んだところを8番手の山中秀将が、1センター過ぎから一気。4番手の三谷竜生、6番手の平原康多は動けない。山中がバック手前で出切ると、付けた守澤太志(写真)と直線勝負。守澤が追い込んで通算200勝のメモリアルを飾った。
 「やりました(笑)。200勝をとくに意識してなかったけど、このメンバーで1着取れたのはうれしい。山中が強かった。(出切ってから)誰か来るかと思ったけど、誰も来なかった」
 「50メートルくらいイメージと違う」と、仕掛けた時の感覚のズレがあった山中秀将だが、ロングまくりで抜群のスピードを披露した。
 「自分では(最終)ホーム過ぎに行ってるつもりだったんですけど、(VTRを見たら)それよりかなり遅いですね。そのズレを修正しないと。自分が思っているのと、映像が一致した方がいい。最後まで踏めたし状態は悪くないんですけど」
 まさかの8番手から周回を進めた平原康多は、最終バックでは前が遠い8番手に置かれた。
 「(周回中8番手からの組み立てで)あれで終わりました。そのあともあれだけ流されて、(山中に)カマされたら…。バックを踏まされてスイッチしようがなかった」