『久留米国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)レポート』 最終日編

久留米競輪場で開催された第10回「国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)」は
3月22日に最終日を迎えた。注目の決勝戦は櫻井正孝の先行に乗った菅田壱道が番手まくりを敢行。

後続の追撃を振り切り、18年1月大宮以来、2年ぶり通算3度目のGIII制覇を果たした。併催されたガールズケイリンは太田りゆが力強いまくりで優勝を飾った。

勝戦 レース経過

 各ライン見合ったスタートから、阿竹智史が出て、竹内翼-久米康平-阿竹の中四国勢が前受け。以下、櫻井正孝-菅田壱道-岡村潤、藤井栄二-南修二、志村太賀で周回を重ねる。
 青板3コーナーから藤井が動き出す。正攻法の位置で竹内、藤井が併走する態勢から赤板で誘導が退避。同時に竹内も藤井も踏み込むが、外の藤井が強引に押さえ込んで先頭に立つ。竹内が引く一方、後方となった櫻井が2角で一気にカマす。打鐘で櫻井の主導権へと変わり、4番手に藤井、竹内は7番手に置かれて一本棒。菅田が番手で車間を切り始めた最終1センターで藤井はまくっていくが、引き付けた菅田はバック番手まくりで応戦する。すかさず南が、内の岡村をキメて菅田の後位にスイッチ。竹内のまくりは遅く、このまま菅田と南の一騎打ちの様相で直線へ。南が渾身の力で抜きにくるが、堪えた菅田が押し切ってVを奪った。2着に南で、3着は初手から近畿勢を追っていた志村。

菅田壱道選手
菅田壱道選手

 同じ高校出身で固い絆で結ばれている宮城コンビ。シリーズ初日は連係失敗で共倒れに終わったが、決勝は菅田壱道(写真)がしっかりチャンスをモノにした。
 「櫻井(正孝)が頑張ってくれました。気持ちがうれしかったですね。頼もしい先行でした。あそこで叩きに行った瞬時の判断が良かったです。そのあとは自分の判断で、すぐに(藤井が)まくってきたので、しっかり勝てるところから踏ませてもらいました」
 初日の反省を踏まえ、2日目から連勝。3日間、同県の選手の番手を回った今回の優勝は喜びも違う。
 「櫻井はこういう大きな舞台でこの走りをして、ひと回り成長したと思う。北日本でこういうのを繰り返していければいいですね。自分もその中の一員として、しっかり役割を果たせるように。これから北日本をもっと盛り上げていきたいと思います」
 昨年5月の松戸ダービーでは決勝3着で表彰台に上がるなど、タイトルに手が届く位置まできている。脚力にさらに磨きをかけて、5月の静岡ダービーで頂点奪取に挑む。

 南修二は藤井が不発と見るや菅田にスイッチして2着に。
 「藤井が頑張ってくれましたね。あれで(藤井が櫻井のことを)まくり切ってくれれば良かったんですけどね。また脚を付けて頑張ります」

 単騎の志村太賀は初手から近畿勢を追走する形で3着に入った。
 「近畿の3番手が空いていたので、そこを回ろうと決めてました。やっぱり南さんは脚がありますね。南さんが強かったので3着に入れた。バックで狭いところを入っていたので、追っていってコケるかと思った」

 櫻井正孝は思い切った仕掛けで菅田を優勝に導いた。
 「中団で竹内(翼)君を決めて、まくろうと思っていたんですけどね。けっこうハイペースになって順番が来たので、あのまま叩いて行っちゃたほうがいいかなって。結果的にそれで(菅田)壱道先輩が優勝してくれたんで良かったです」

 藤井栄二は中団で態勢を立て直してからまくったが、不発に終わった。
 「(櫻井に)勢いよく来られて、出られてしまった。そのあとは中団に入って思ったより詰まるのが早かったです。仕掛けて行ったんですが、ダメでした。力不足です」

 
 

ガールズケイリン 決勝戦 レース経過

太田りゆ選手
太田りゆ選手

 太田りゆ(写真)が世界の強豪と互角に渡り合ってきたスピードとテクニックを披露した。レースは南円佳が最終ホームから先行。2番手外併走の状態から冷静にまくって混戦を断ち切った。
 「南ちゃんが動いたので付いていったら山口(伊吹)さんが飛び付く形になってどうしようかなと。2コーナーからだったら、昨日(2日目)、一昨日(初日)の感覚だと戦えると思ったので必死にダッシュした。それで1着を取れなかったら、自分の弱さだし、(石井)寛子さんは胸を借りられる先輩なので、差されたら仕方ないと。ゴールした時は差されたなと。林(真奈美)さんが後ろに入っていなかったら、寛子さんに差されていたかも。国際自転車トラック競技支援競輪なので、勝てて良かったです」

 石井寛子は連勝が13でストップ。6場所連続優勝はならなかった。
 「届いたと思っただけに悔しいですね。勝たなきゃいけなかったし、負けたら意味がない。勝たないと気分が乗らないですから。初手の位置取りはギリギリまで悩んだけど、(太田の)後ろからがいいかなと。最後も迷ってしまった。今回は明確な勝ちパターンを見つけられることができなかったですね」

 太田を俊敏に追いかけた林真奈美は3着。地元ホームで3日間、確定板に上がった。
 「ちょっとホームぐらいから動きが激しくなったんですが、(太田が)まくって行った時に付いていけてチャンスのある展開にはなりました。でも相手がすごく強いし、今回はかみ合ってないところもあったので、最後は抜ける感じがしなかったです」

 
次回のグレードレースは、3月26日~29日まで福井競輪場において、「第4回ウィナーズカップ」が開催されます。
この大会は1着回数が多い選手、ヤンググランプリ2019に参戦した選手が出場権を得られるため、若手の自力型が多く参戦する大会。S級S班から松浦悠士、清水裕友、平原康多、郡司浩平に若手がどう挑むか目が離せない開催に。
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