『第4回ウィナーズカップ(GII)レポート』 前検日編

20年、ビッグ開催の第2弾、「第4回ウィナーズカップ(GII)」が、福井競輪場で3月26日に幕を開ける。1着回数の上位選手を中心に選考された新設のGIIも今年で4回目を迎える。

S級S班の7人をはじめ、輪界の精鋭たちが各地区から集まった。高橋晋也、坂井洋の115期2人のビッグレースデビューにも熱い視線が注がれる。前検日の25日は、多くの選手がバンクで汗を流し、翌日からの戦いに備えて感触を確かめた。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、シリーズの4日間は無観客での開催になります。また、初日特選に出場する27人の共同会見も、同様の観点から中止となりました。どうぞご了承ください。

<1R>

高橋晋也選手
高橋晋也選手
 すでに1月の地元、平記念では決勝に進出。115期の出世頭、高橋晋也(写真)が、初めてのビッグでオープニングを務める。
 「いい緊張感がありますね、ここを楽しみにしてきた。師匠(飯野祐太)と一緒に決勝に、そんなつもりです。(最近は)小さいレースをしないで、魅せるレースを心がけています。練習は普通にやってたし、マッサージとかも取り入れてやってきて問題はないと思います」
 島川将貴は、前回の平塚FIを113着。決勝は先行策で同県の小川真太郎の優勝に貢献した。
 「(前回の)平塚は体が軽かったです。知らないうちに疲れが溜まっているところもあるし、たまに休んだら良くなる。(休みとトレーニングの)メリハリをつけた方がいいですね。そこから練習は普段通りで、体の方は問題ない」

<2R>

古性優作選手
古性優作選手
 向日町、佐世保と直近はFI戦ながらオール連対で連続準Vの古性優作(写真)が、徐々に復調してきている。
 「少しずつ良くなってきた。セッティングとかよりも、体的なことの方が大きいですね。強い人は根本的になにを乗っても強いですから。そこに自分もしっかりと対応していかないと。(前回の決勝は)仕方ないじゃダメなんだけど、(番手での判断が)難しかった」
 松川高大は小倉FI、小田原FIと番手回りでの連続優勝。自力でのビッグの一次予選に気を引き締める。
 「自分ではそんなにいいっていう感じではないんですよ。番手回りも多いし、優勝は番手戦ですから。自分でやった時にどうかっていうのもある。あとはグレード(戦)で結果を出さないことには」

<3R>

小林泰正選手
小林泰正選手
 近況、FI戦線で成績をまとめている小林泰正(写真)は、昨年10月の寬仁親王牌以来、2度目のビッグ。
 「細切れだし、自分もしっかり前々に動いていきたい。(河合)佑弥とか森田(優弥)とか同期10人くらいで、京王閣で18日から3日間やってきた。感じ的には仕上がっているし、あとは自分の力を出し切れれば。京王閣の合宿もそうですけど、前回から日にちが空いたんでしっかり練習ができた」
 若手の機動型がひしめくメンバーに吉田敏洋は、油断することなくイメージを膨らませる。
 「朝から激しいレースになりそうですね。早い展開になると思うんで、出遅れないように。1周くらいは駆けるつもりでいかないと。それくらいの気持ちがないと。自分たち(のライン)は、2人合わせて87歳(笑)。年季だけはあるんでね」

<4R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 渡部哲男(写真)は前回の地元、松山記念の5271着から中9日で状態はどうか。
 「(地元記念のあとで)燃え尽き症候群みたいな感じもあります。だから、練習は軽めにやってきた。疲れもあったんで。ただ、松山の前には乗り込んでたんで大丈夫だと思います」
 3場所前の川崎FI、続く西武園FIと大敗が目立った松岡健介だが、前回の大垣FIでは433着で復調の手応えをつかんでいる。
 「川崎から力が入らなくて…。それでも気のせいだと思って、追加の西武園に行ったらそこもでした。花粉症が原因だったのか、大垣はダルさもなかったし、良くなってくれればと思います」

<5R>

宮本隼輔選手
宮本隼輔選手
 3場所前の松山FIでは昨年7月の大垣以来の優勝。前々回の奈良記念は3連勝で優出、前回の高松FIを準Vの宮本隼輔(写真)の調子が戻ってきている。
 「(良くなっている理由は)気持ちですね。成績がいいからって脚がいいわけではない。ただ、一時期より脚も良くなっている。あとは開き直って(仕掛ける)タイミングで行っているだけ。いいころと比べるとまだまだですけどね」
 諸橋愛は前回の松山記念で逃げた平原康多をとらえ切れずの準V。
 「(松山記念の決勝は)バックが追い風で流れている感覚を見極められなかった。松浦(悠士)が後ろにいたんで、引き出したくなかったっていうのもあったけど。結果的には(平原)康多が強くて、自分の力がなかった。そのあとちょっと右の足をひねった感じがあって、違和感がある。それがこのクラスで、どれだけ影響するかですね」

<6R>

野原雅也選手
野原雅也選手
 前回の別府FIで落車に見舞われた野原雅也(写真)は、中20日以上での復帰場所が地元ビッグ。地元からはただひとりの出場だ。
 「(落車の怪我は)骨折とかじゃなくて良かった。左肩の擦過傷くらいですね。すぐに練習を始めて、一生懸命ここに向けてやってきた。感触的には問題ないです。(ここに出られなかった脇本雄太の)その分もというわけではないですけど、やれることはやってきた」
 ラインの先頭を任されればまくりも繰り出す稲川翔が、野原の番手で息を合わせる。
 「やっぱり自力で前に踏める人が一番強いですから。練習では自力の練習しかしてないです。あとは与えられたところの走りをしっかりと。どこでもできることは、なんでもやろうっていう気持ちです」

<7R>

鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 吉田拓矢とのタッグに鈴木竜士(写真)は、気持ちを入れる。
 「(自分が番手だけど並びに関しては)僕はどっちでもいいんです。(体調は)まったく問題ない。やっぱり前のおかげで、後ろが生かされる。だから、(前の人には)好きに走ってもらうのが一番。自分はそのなかでやれることはなんでもやります」
 イメージもしてきた山田庸平の一次予選は、上田尭弥の番手が回ってきた。
 「今回は若手が多いんでいつもと違うから、こういうこともあるかと。練習はいつも通りですけど、練習での調子は上向きです。最近は練習でも良かったけど、さらに手応えを感じてきた」

<8R>

新山響平選手
新山響平選手
 新山響平(写真)は、前回の玉野記念で郡司浩平と同着ながらも4度目の記念制覇を逃げ切りで遂げた。
 「(前回優勝で)流れはいいと思う。それから(競輪用の自転車は)乗ってないので、(指定練習で)乗って感覚を取り戻したい。ナショナルチームでは体幹系のトレーニングをして、それでフォームが固まってきて走りやすくなった。自転車に(力が)伝わりやすくなった。そこが大きいですね」
 前回の前橋FIで通算3度目のS級優勝を遂げた河合佑弥も勢いはある。
 「小林泰正、森田(優弥)とか同期と合宿をしてきました。この4日間も積極的に仕掛けるっていうことはやっていきたい。あとは武藤(龍生)さんと頑張りたい」

<9R>

坂井洋選手
坂井洋選手
 坂井洋(写真)は、前回の佐世保FIを3連勝の完全V。昨年11月の平塚でのS級初優勝以来のV奪取に笑みがこぼれる。
 「やっと優勝したっていう感じですね。なかなかうまくいかないってのがあった。(今回初めてのグレードレースで)早く走りたいっていうのがあった。でも、いまの自分じゃGレースを走ってもっていうのはある。脚力だけでは勝てないし、経験値を上げていきたい」
 同県の松井宏佑の番手に「せっかくもらえたチャンスなんで」と、小原太樹がピリッとする。
 「(前回から2週間以上)空くってわかってたんで、練習はしてきました。自分の感じも戻ってきますけど、(松井は)踏み出しがいいんでそこは集中していきたい」

<10R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 1月立川記念の落車で鎖骨骨折に見舞われた郡司浩平(写真)だが、2月の全日本選抜で復帰すると静岡記念、玉野記念と3場所すべて決勝に進出。前回の玉野では、優勝を飾った。
 「(復帰してからは反動もなく)変わらずいい状態ですよ。ここまでも問題なくこられました。久々に(日にちが)空いたから、しっかりと練習ができたし。もう少し暖かくなってきたら、また感覚が変わってくると思う。でも、現状は(自転車とか)このままでいいのかと」
 安定した成績を残している村上博幸は、状態的には上向きの様子で例によって平常心で静かに口を開く。
 「1月は状態があんまり良くなかったんで苦しかった。ただ、そういうなかでリカバリーができた。(直近の)奈良、松山は状態が良かったけど、なかなか展開が向かなかった。でも、ようやく練習がガツンとできるようになってきた」

<11R>

太田竜馬選手
太田竜馬選手
 全日本選抜を欠場した太田竜馬(写真)は、今シリーズが今年初のビッグ。
 「(GIに出られなかったんで)走りたいっていう気持ちがあった。落車の影響がまだあるけど、良くはなっている。でも、まだ完ぺきじゃない。手応えはあります」
 小松崎大地は、前回の京王閣FIの準決で落車のアクシデント。中2週間近く空いての復帰戦は、同県の佐藤慎太郎と連係する。
 「走ってみてですけど、(体の方は)大丈夫だと思います。平で飯野(祐太)とかとやってきた。飯野には何回かちぎられましたけど(笑)。(1番車が決まっている佐藤)慎太郎さんと走る時は、いろんなパターンができるので、そこをしっかりと出せたらと思っています」


<12R>

平原康多選手
平原康多選手
 今年に入って1着ラッシュの平原康多(写真)は、前回の松山で大宮に次いで今年2度目の記念制覇。ここは同県の後輩、森田優弥に委ねる。
 「(森田は)せこい走りをしてきた選手じゃないんで、堂々と走ってもらえれば。なにか注文をつけるレースをしてきてはないですからね。(若手が多い)こういう大会なので、人の後ろを走り機会が増えると思っていた。難しいところもありますけど」
 全日本選抜で待望のGI制覇を遂げて、すでに年末の「KEIRINグランプリ2020(GP)」の出場権を獲得している清水裕友だが、今シリーズも目が離せない。
 「沖縄で4泊の合宿をしてきた。暖かくて体が動いたので、いい練習ができた。順調にこられたと思います」