『立川競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 最終日編

立川競輪場を舞台に開催された開設68周年記念「鳳凰賞典レースGIII)」は、1月7日に最終日が行われた。関東勢が2つに分かれた決勝で主導権を握ったのは佐々木豪。

佐々木豪に付けたS級S班の清水裕友が、番手まくりで優勝。

令和2年最初の記念を制し、鳳凰賞典連覇を遂げた。

また、6レースの「S級ブロックセブン」では、単騎の齋藤登志信が鮮やかに突き抜けた。

勝戦 レース経過

号砲で飛び出した諸橋愛が前を取り、吉田拓矢-諸橋-福田知也が前受け。中団は平原康多-河村雅章-朝倉佳弘の埼京ライン。佐々木豪-清水裕友-佐々木雄一が後方で周回を重ねる。
 青板の2センター過ぎから佐々木豪が上昇。合わせて動いた平原を強引に押さえて、赤板1センターで主導権を握る。番手の清水は若干、佐々木豪と車間が空いたがすぐに追いついて、ライン3番手の佐々木雄も再度付け直して打鐘を迎える。グングンと加速していく佐々木豪に、中団の平原も、7番手の吉田も仕掛けられないまま最終回へ。徐々に前との車間を空けた清水は、バックから自力に転じてまくり出し、別線に反撃を許さないまま4コーナーを回る。最後は直線勝負にかけて踏み込んだ平原を力強く振り切って、大会連覇を達成した。4分の1輪差まで迫った平原が2着で、ホームの河村が3着に入った。

清水裕友選手
清水裕友選手

 S級S班として初めて迎えた昨年の記念は単騎だったが、今年は清水裕友(写真)よりも若い中四国地区の佐々木豪に託して鳳凰賞典連覇をつかみ取った。
 「正直、前検日は無理だろうなってデキだったけど、ラインにも助けられた」
 万全で臨んだつもりのグランプリは、終わってみれば調整ミス。そのグランプリよりも上々の仕上がりの今シリーズだったが、自身にしかわからない違和感があった。
 「初日からグランプリより(感じは)良かったんですけど、正月気分でしたね。(3日目からうまく修正して)体はキツかったけど、そのなかで結果を出せて、いい経験になった」
 初日特選、二次予選AでもS級S班に恥じない立ち回りだったが、準決になってようやく眠れる力が目覚めた。
 決勝は前を任せた佐々木豪が赤板1センター過ぎに飛び出すと、緩めることなく敢然と風を切る。即席ながらも3番手を佐々木雄一が固めて、願ってもない展開が訪れた。しかしながら、中団には同じS級S班の平原康多。清水は油断することなく、最終2コーナーから番手まくりを打った。
 「中団が平原さんだったんで、1つでもミスをするとのみ込まれてしまうと思った。あそこでちゅうちょすると平原さんに並ばれて、勝てないっていうのがあった。それでシビアに(番手まくりに)行かせてもらいました」
 平原の猛追を4分の1輪抑えて、通算の4度目の記念V。昨年に続きS級S班の座を守った清水が、新年一発目の記念を連覇した。
 「いいスタートが切れて良かった。去年も1年が長かった。去年はこのあとインフルエンザにかかって、そこからの(落車による)骨折。(今年は)1年間、息切れをしないように。それが(GIの優勝)目標。中四国がすごいので、自分もそのなかで先頭で頑張りたい気持ちもある」
 念願のタイトル獲得に前進あるのみの清水裕友が、今年も中四国地区をリードしていく。S級S班2年目にして、すでに漂うオーラは超一流のそれと変わらない。

 「その場の判断でしたけど、自分で先にペースを上げて佐々木(豪)君を待った方がいいかと」と、4番手キープの平原康多が振り返る。番手まくりの清水を射程圏に入れて、直線での強襲劇はわずかに届かなかった。
 「緩んだらチャンスと思ったけど、佐々木(豪)のスピードが落ちる前に(清水が)仕掛けて行ったんでさすがですね。自分は車間を切ってから、どれだけ詰められるかだった。あれで届かないのが実力。グランプリもそうですけど、足りないっていうこと。ただ、グランプリとは違う自転車で、開催中にかなり修正できてマッチしたのは良かった」

 ホームの河村雅章は、平原に付けて直線で懸命に詰めるも3着が精いっぱい。
 「とにかく(平原に)離れないことだけを意識した。抜ければ良かったけど、自分も詰まってかなかった」

 前受けから後方に置かれて見せ場のなかった吉田拓矢。タッグを組んだ諸橋愛が代弁するようにこう言う。
 「(周回中に)後ろからで脚を使って7番手になるなら、(周回中は)前にいて一発にかけた方がと。あれで行けるか行けないかの力勝負。(行けなかったのは)まだ(吉田の)力が足りない、頑張れってことでしょう」
 
次回のグレードレースは1月10日~1月13日まで和歌山競輪場で開設70周年記念「和歌山グランプリ」が開催されます。S級S班から松浦悠士、村上博幸佐藤慎太郎が参戦。浅井康太、菅田壱道、渡部哲男、各地区の強豪がそろっている。地元、稲毛健太、椎木尾拓哉、東口善朋、南潤が参戦。12月29日時点の出場予定選手データを分析した「和歌山グランプリ」の主力メンバー及び狙い目選手を紹介する「プロスポーツ号外版」は以下をクリックしてください。

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