『全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪レポート』 初日編

豊橋競輪場を舞台に全日本プロ選手権自転車競技大会記念競輪が5月30日に開幕。晴天のもと、
オープニングレースからハイレベルなバトルが繰り広げられた。

優秀競走3個レースは菅田壱道、松浦悠士、清水裕友が勝ち名乗り。勝ち上がった9名によって争われる2日目の「スーパープロピストレーサー賞」は清水、松浦の中国ゴールデンコンビに期待が集まりそうだ。

<1R>

内藤宣彦選手
内藤宣彦選手
 南潤の先行を佐藤博紀が後方から豪快にまくる。続いた内藤宣彦(写真)がゴール前で逆転した。
 「前なら展開待ちで、まくり切れないかと思って内を見てたけど、付いていってまくり切ってくれたんで。強かったですね。レース勘は大丈夫。最近は前の選手が頑張ってくれるし、流れがいいです」
 まくった佐藤博紀が2着で北日本ワンツー決着。スピードは光っていた。
 「もうあのタイミングでダメでも行くしかないと思って仕掛けました。乗り越えられたんで、あとはもうそのままって。1レースでいい結果を残せて良かったです」

<2R>

志智俊夫選手
志智俊夫選手
 久米康平、堀内俊介、真船圭一郎の順で切ったところを皿屋豊が叩いて打鐘過ぎ2センターで先頭に。皿屋のかかりに別線の巻き返しは叶わず、番手の志智俊夫(写真)が展開有利に抜け出した。
 「みんなが俊敏に切り合うなかで、皿屋がいいところで行ってくれましたね。皿屋がそこまで脚を使わずに駆ける感じになったからみんなまくれないと思いました。最後も強くて抜けないかと思ったけど抜けましたね」
 皿屋豊はわずかに末を欠いて3着ながらも、出し切ったレースにすがすがしい表情。
 「中部の一番手で緊張しましたけど、この後に勢いを付けようと思って。3着でしたけど、ラインで決められたのでベストだと思います」

<3R>

林慶次郎選手
林慶次郎選手
 打鐘前から踏み上げた林慶次郎(写真)が強豪を相手に会心の逃げ切り勝ち。3連単10万円オーバーの大穴配当を演出した。
 「こういう展開になると思ってました。伊藤(信)さんは内をすくってこないだろうから上に上がって見ながら、残り1周は全力で行きました。展開もあるけど結果的には大満足。ちょっとだけ自信になりました」
 好アシストの坂本亮馬が2着に流れ込んで九州ワンツー決着となった。
 「バックは風が強かったけど、(林)慶次郎がよく頑張ってくれた。サポートはできた。いつもの感じで抜きにいったら逃げ切られたし、それだけ慶次郎が成長してるってことでしょう。状態は前回と変わらないですね」

<4R>

野田源一選手
野田源一選手
 竹内雄作が抵抗する嵯峨昇喜郎を力ずくで叩いて主導権を握ったが、展開は野田源一(写真)のまくり頃に。後方で脚をためると2コーナーから一気のまくりを決めた。
 「前のレースで(林)慶次郎がいいレースをしていたから自分も続きたかった。自分のスタイル的に(赤板で)切って位置を取るべきだったし、失敗したけど結果的に脚を溜められた。前と遠かったけどあそこで行ってダメなら仕方ないと思って仕掛けたら意外と車が出ました」
 福岡コンビにまくられた竹内雄作だったが、何とか3着に踏みとどまった。
 「ホーム前に(岡本)総君が外に飛ばされて一人になったと思ったのでペースを上げ過ぎてしまいましたね。脚の感じは良かったし4コーナーまで回せたので、ペース配分さえ良かったらもっと粘れたと思います」

<5R>

畑段嵐士選手
畑段嵐士選手
 切って3番手のポジションを取った石塚輪太郎が黒沢征治の先行をまくる。これに乗った畑段嵐士(写真)が鋭く追い込んだ。
 「思ったより前がかかってましたね。(石塚は)しんどかったと思います。練習はボチボチやっていたんですが、しばらく走ってなかったので、練習通りとはいかなかったです。明日(2日目)はメンバーがいいので、しっかり頑張ります」
 5番手をキープしていた簗田一輝は近畿コンビを追う形で2着に流れ込んだ。
 「ホームは余裕がありました。2コーナーで仕掛けられれば良かったんですけどね。後ろの佐々木(豪)さんが来たら合わせて仕掛けるつもりだったけど、そう思っているうちにバックになってしまって…。落車の影響もあってまだまだなんですが、レースにはなってきているし、少しずつ良くなってます」

<6R>

島川将貴選手
島川将貴選手
 赤板で切れず、後方7番手に置かれてしまった島川将貴(写真)だったが、態勢を立て直すと10秒8の快速まくりで前団を飲み込んだ。
 「野口(裕史)さんを意識し過ぎてしまって…。伊藤(裕貴)さんが切ったら切ろうと思っていたら失敗しました。脚の感じはいいのでまくれるとは思っていたけど、内容がダメですね。明日(2日目)はその辺をしっかりしたい」
 正攻法に構えていた坂井洋は腹をくくって積極策に出たが、島川に飲み込まれて4着に沈んだ。
 「誰も来なかったので腹をくくって駆けました。かかり自体は良かったし、野口さんを合わせ切れたからいい感じだと思ったらその上をすごいスピードで行かれてしまいましたね…」

<7R>

南修二選手
南修二選手
 太田竜馬がハイペースで先行。5番手からまくり上げた稲毛健太のスピードをもらった南修二(写真)が直線一気に抜け出した。
 「(稲毛は)タテ脚があるので信頼して付いてました。強かったです。追走だけしっかり集中してました。自分も進んでいたと思います」
 太田の先行を利した香川雄介が2着に入った。
 「(太田が)あんなにフカして行くとは思わなかった。ワンツーを決めたかったけど、厳しかったですね」
 好回転でまくった稲毛健太は3着まで。
 「何も決めてはいなかったんですが、前を追いかけるのでキツかったです。ゴール前はなんかスカスカしたんですけど、悪くはないと思います」

<8R>

佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
 打鐘から前に出た野原雅也が最終ホームからペースアップ。車間を切って追い込む稲垣裕之の外を金子貴志が伸びると、中近勢を追っていた単騎の佐々木雄一(写真)がさらに外を突き抜けた。
 「近畿が中団になった時点で先手を取りそうだと思ってあの位置に決めました。金子さんまで抜けるとは思っていなかったんですけどね。今回はきつめに練習していたから疲れが残っていると思ったけど、意外に出ましたね(笑)」
 地元の金子貴志は2着で2日目のダイナミックステージ行きを決めた。
 「余裕もあったし稲垣君が先に踏んでからと思っていました。下手に早く踏んでも佐々木君が後ろにいたので内をすくわれるかもしれないので。自分はいい感じに伸びたけど、すごい勢いで外を抜かれましたね」

<9R>

古性優作選手
古性優作選手
 前受けから8番手まで下げた渡邉一成がすかさず巻き返して主導権。最終ホーム前、6番手から反撃に出た古性優作(写真)は2コーナーで内をすくって渡邉の番手を奪ってから早めに追い込んだ。
 「自分より強い人ばっかりだったので、1回脚を使ってでもと思っていたんですけど、ちょっと失敗しましたね。(渡邉)一成さんに合わされる感じになって外にへばりついて、もう1回仕掛けられれば良かったんですが、咄嗟に(内に)入ってました。ラインで決められずに申しわけない。カーボンフレームで練習してきて脚力は上がっていると思うんですが、それが体にマッチしてなかったので修正します」
 古性の後位にスイッチする形からしぶとく追い込んだ橋本強が2着に。
 「古性君の巻き返しが早かったですね。ゴチャついてしまったので、自分で前々に踏ませてもらいました。ずっと内で重かったですね。100日以上ぶりの復帰戦だったわりには動けていたと思います」

<10R>

菅田壱道選手
菅田壱道選手
 三谷竜生を叩いて逃げた吉田拓矢を単騎の河端朋之が好回転でまくり切る。これにスイッチした平原康多が追い込むが、その外を菅田壱道(写真)が突き抜けた。
 「レースを想定して練習しているので、俊敏に反応できましたね。河端さんがこなければ2コーナーから自分でまくりに行く準備はしていました。でも、かぶってしまったので戻ってから切り替えて追い込んだら思った以上に伸びましたね」
 菅田に直線で交わされた平原康多は2着に入線。
 「ちょっと難しかったですね。河端も強かったし。1車だったから入れてと思ったけど…。そのあとの菅田も強かった。全部、(吉田)拓矢のおかげですね。恵まれたというかしのいだ感じですね」

<11R>

松浦悠士選手
松浦悠士選手
 松井宏佑の先行を松浦悠士(写真)が鮮やかにまくって圧勝。スピードの違いを見せた。
 「感触は抜群に良かったです。前回は自分の調子とイメージしている脚が違ったので、今回は調子を計る意味でもしっかり自力を出そうと思ってました。松井君があんなに行くとは思わなかったけど、前(3番手の位置)も併走になっていたし、恵まれました。仕掛けてからは自分が思っていた以上に出ました。タイムもかなり出ていると思います。今年一番いい感触かもしれない。手応えはかなりあります」
 松井の先行に乗った諸橋愛小倉竜二を弾いてから追い込んで2着に。
 「恵まれました。(松浦の)スピードがかなり良くて、止められないかなって。それで番手に飛びつこうと。前(松浦)がもう離れてしまったんで、追いつける感じはなかったですね。脚は悪くないです」
 小松崎大地との併走をしのいで先手ラインの3番手を取った坂口晃輔が3着に食い込んだ。
 「久しぶりのレースで、いろんな苦しさがありました。先行しそうなのが松井君だったので、そこを追走して考えようと。すんなり回らせてもらえれば良かったけど、そんな上手くいかなかったですね。併走の形になったんですが、なんとかしのげました」

<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 最終レースは柴崎淳、新山響平の主導権争いを清水裕友(写真)が豪快にまくって圧勝した。
 「展開が良かったです。やりあっているところを行っただけ。脚や体の不安はあったんですが、展開に助けられた感じです。レース勘は問題なかったです。自転車、シューズもそのまま新しいもので走ります」
 新山を突っ張り切った柴崎の番手から追い込んだ浅井康太が2着。
 「(柴崎)淳がしっかり仕掛けてくれました。(清水が)1人で来たので(柴崎に)追いかけさせて、最後は1着を取りにいきました。調子はボチボチです」
 初手から中部コンビを追っていた単騎の木暮安由が3着に入った。
 「動くラインの後ろから出たとこ勝負を考えてました。あの位置ならチャンスがあるかなって。状態はいいと思います」