レインボーカップ出場が決まった小原丈一郎

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 同県同期の小原佑太は一足先に2班に特別昇班していったが、素質の高さでは小原丈一郎(写真)も見劣りしない。S級上位で活躍した則夫(57期・引退)を父に持つサラブレッド。その影響で始めた自転車競技ではJOCジュニアオリンピックカップケイリンで銀メダル、1㎞TTで銅メダル獲得など堂々たる実績を残しての競輪挑戦だ。デビュー後も期待に違わぬ躍進を見せており、12月8日の佐世保『19年後期レインボーカップチャレンジファイナル(A級3班戦)』の出場が決定した。
 「最近は正直悩んでいます。ちょっと前まではレインボーカップの選考のことを考えてしまって競走が小さくなってしまっていた。それから大きいレースをしようと心掛けているけれど結果に繋がっていない。練習で長い距離を踏もうと思ってやっていたら、今度はダッシュがなくなってきていた…」
 溜めてドカンと放つカマシ、まくりはレベルの違うスピード、破壊力だが、求めるものが大きいのだろう。実際には、ここまで8場所走って17勝、2着5回で4Vの凄まじさ。レインボーカップでも有力なV候補となる。
 「(レインボーカップ出場組で)普段の競走を見てて強いなって思うのは朝倉(智仁)君、谷(和也)君、野上(竜太)さん。早く上で戦いたい気持ちは強いけど、特班を狙い過ぎて何もせずにマークで流れ込むって競走はしたくない」
 10月川崎FIIナイターでの完全優勝で、レインボーカップを走らずして特別昇班の可能性も出てきた。これからが本当の勝負だ。


 

 競輪学校では在校13位と健闘した張野幸聖(写真)。デビュー後はまくり主体に多彩な戦法を繰り出して存在感を発揮している。ツボにハマった時のタテ攻撃の破壊力は強烈で、同期の齋木翔多をまくりで下した9月弥彦FIIミッドナイトの完全優勝が光る。
 「弥彦は気持ちを入れて走れました。スピードを乗っけての仕掛けが得意。今回はこれをするっていうよりも臨機応変に展開を見たり、流れに乗る中でタイミングを見て仕掛けていっているので、今はまくりの方が多いです。本当は先行もしたいんですけどね。長い距離を踏んだ時のペース配分とかまだまだ分からないですけど、(10月)大宮では今まで以上に積極的に行けたし、意外と楽でした。これからはもっと考えて走っていきたい。レースを見過ぎてしまわないように」
 地脚タイプでレースの組み立てなど試行錯誤している部分はあるが、逆に今後が楽しみ。「南潤さんだったり、師匠(中西大)だったりと凄い自力選手ばかりなので、自分も負けずに頑張りたい」と話す活気溢れる練習環境の下で着実に力を伸ばしていく。


 

 土田栄二(写真)は、Vol.15(8月16日)で紹介した武志の実兄。同じく陸上競技で活躍し、適性で入校を果たした。経験不足もあって在校順位は中位に止まったが、まくりで勝ち星を挙げていたように自慢のダッシュには元々非凡なものがあった。
 「距離を踏むことがまだまだで、学校時代はあまり先行できませんでした。(卒業後は)同期と横山尚則さんのグループで練習しています。ダッシュに自信はあったけど、横山さんをみても一流は違うと感じた。早く自分もああいう風になりたい」
 強い相手と練習でもまれているからか、デビュー後は着実に力を伸ばしている。優勝こそまだだが、3場所目の8月函館FIIミッドナイトから7場所連続で決勝に進出中。最初は“競走では先行にこだわらず、まくりも使っていければいいかな”と話していたが、今は先行とまくりの決まり手が半々と先行でも結果を出している。11月富山の予選で赤板過ぎに前団を押さえてそのまま2着に逃げ粘り、ラインでワンツースリーを果たした一戦を“自信になる”と振り返っていたのは印象的。レースの組み立て等、粗削りな面はあるが、先輩の助言も聞いて伸びていく姿からは目が離せない。


 

情報提供:日刊プロスポーツ新聞社
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