『四日市競輪開設68周年記念(GIII)レポート』 最終日編

四日市競輪場で開催された開設68周年記念「泗水杯争奪戦(GIII)」は、
11月10日に最終日を迎えた。

ナイターで行われた今シリーズ。

決勝は村上義弘北日本ライン分断に出てもつれる。

最終1コーナーからまくった柴崎淳が、後続の追撃を振り切って優勝。

一昨年10月の平塚以来、通算4度目の記念制覇でホームの四日市3度目の記念Vを遂げた。

また、6レースの「S級ブロックセブン」は、地元地区の松岡篤哉がまくりで一発勝負を勝ち切った。

決勝戦 レース経過

 号砲で出た浅井康太が前を取り、柴崎を迎え入れて地元コンビが前受け。村上義弘-岩津裕介が3、4番手に続き、諸橋愛が5番手、北日本ラインの嵯峨昇喜郎-小松崎大地-佐藤慎太郎-大森慶一は後方で周回を重ねる。
 赤板手前から一気に仕掛けた嵯峨が、1コーナーで先頭に立つも、中団から合わせて踏んだ村上が嵯峨の番手に飛び付いて打鐘を迎える。番手と3番手は併走でやり合ったまま最終回へ入るが、少しずつ村上が遅れて、小松崎が番手を守る。しかし、そこへ後方で脚を溜めた柴崎が一気に襲い掛かる。小松崎に合わせて出る余力はなく、バックで嵯峨を豪快に抜き去ると、そのまま力強く押し切ってV。09年以来、10年ぶりの地元記念制覇を果たした。赤板で村上ラインの動きを追わず地元コンビの仕掛けに乗った諸橋は、最終2センターで浅井の内へ進路を取ると、柴崎と浅井の中を割って2着。諸橋に激しく当たられた浅井は伸びを欠いて3着でゴールした。


柴崎淳選手
柴崎淳選手

 大挙4車が勝ち上がった北日本勢は、先頭を務める嵯峨昇喜郎が赤板で飛び出す。しかしながら、合わせて動いた村上義弘が取ったのは分断策。嵯峨が主導権を握ると、番手の小松崎大地を村上が大きく外にもっていくが、小松崎もその位置は譲れない。競りの決着は簡単にはつかず、前団の隊列が凝縮されたまま打鐘を通過。柴崎淳(写真)がその時をじっと待った。
 「ジャン過ぎに(仕掛けるタイミングの)1回目が来たけど、僕の航続距離じゃなかった。(2回目のタイミングの最終)ホーム過ぎ、あそこで一気に行かないと(ラインの浅井康太と)2人で決まらないと思った」
 酸いも甘いもすべてが詰まったホームバンク。柴崎が仕掛けどころを逃すはずはなかった。初日、2日目に使ったフレームに戻した自転車も、柴崎の思いに応えてグングンと加速。最終バック手前で逃げる嵯峨をとらえて、浅井、単騎の諸橋愛が続く。勝負はこの3人に絞られた。
 「(シリーズの)4日間で脚的には(決勝が)一番良かった。(初日から調子が)徐々に上がっていく感じだった。踏み出しも良かった。あとは(優勝は浅井と)どっちかと思ったら諸橋さんが来てた」
 地元コンビの間を割って伸びる諸橋を半車輪しのいだところがゴール。四日市記念3度目のVは、気づけば08、09年に連覇した時から10年が経っていた。
 「10年ぶりくらいですかね。あの時と気持ちはまったく違う。(優勝を)狙っていかないと、勝たないとっていうのがあったし、中部地区を盛り立てていかないとっていうのもありました」
 その間に同門の浅井は3度のタイトルに、2度のグランプリを制覇。柴崎自身は昨年の競輪祭でようやく初のGIファイナルの舞台に上がり、タイトルに手が届くところにもいる。
 「この自転車で競輪祭にいきたいと思っていた。だから、これで優勝できて、いい流れだと思う」
 フレームへの迷いもなくなり、今年最後のGIにこれ以上ない弾みをつけた柴崎にタイトル奪取の期待が膨らむ。

 「あの展開だったら村上さんは粘ると思った。それは想定内だったけど、差せないのは想定外」と、2着を悔やむのは諸橋愛。思惑通りの流れに地元コンビを追走して、一瞬の隙をついて浅井の内に入った。
 「(入っていくタイミングは)絶妙だった。あれで差せなかったのは俺の実力。ちょっと浅井の方を意識しすぎた感じもある。優勝して賞金を上積みして競輪祭にいきたかった」

 諸橋と絡んで3着の浅井康太は、柴崎の優勝をたたえる。
 「村上さんは先行っていうより、粘るんじゃないかと思っていた。あとはアッちゃん(柴崎)のタイミングでと。(後ろに)諸橋さんがいるのはわかっていたんで、どうやってしのごうかと。(柴崎と)お互いの持ち味は出せたと思うし、自分も(競輪祭に向けて)調子は上がっている」

 嵯峨後位を死守した小松崎大地は、柴崎のまくりには対処できず6着。しかしながら、村上に番手を明け渡すことなく今後につながる内容だった。
 「気持ち一本でした。でも、それ(番手を守り切って)で終わってるんで悔しい。(柴崎のまくりを)俺がなんとかしなきゃいけないのにいっぱいでした」