19年最後に小畑勝広が特別昇班

■Pickup Rookie

 小畑勝広(写真)が19年最終戦となった12月豊橋FIIミッドナイトでA級2班へと特別昇班を果たした。デビューから“出来過ぎなくらい”順調に白星を重ねてきた小畑。11月取手FIIを完全優勝して迎えたレインボーカップ・チャレンジファイナルは結果を出せなかったが、仕切り直しの12月小倉FIIミッドナイトを完全Vで特別昇班に王手。
 「レインボーカップは動いた結果なので仕方ないです。ただ、内に包まれて内容が良くなかった。小倉も勝ち上がりは逃げ切れて良かったけど、決勝は行けるところで見てしまって内容が…。(豊橋は)内容も含めて、全力で勝ちに行きたい」
 気持ちを入れて臨んだ豊橋は予想以上に厳しい戦いだった。“初日は全開でいけたし、力は出し切れた。準決は下げるに下げられなかったので内で粘った”と連勝で勝ち上がった決勝は山本修平、戸塚涼介の関東勢はそれぞれ単騎の戦いに。戸塚が後続を千切る大ガマシに出て、追う北野佑汰を谷和也がまくり、これに山本が続く展開。北野の後位で最終2コーナーでも内に詰まったままと絶体絶命の態勢に置かれた小畑だったが、そこからが強かった。谷後位からまくりに転じた山本にスイッチすると直線一気に突き抜けた。
 「地脚タイプで、スピードはない。段々先行したくてもさせてもらえなくなってきている。そういう時にどう組み立てるかまだまだ勉強しないといけない」 謙虚に話すが、小倉決勝の上がりタイムは11秒3、豊橋決勝は11秒5。11月に前橋グリーンドームで行なわれた関東地区プロのエリミネイションの覇者でもあり、1・2班戦も通過点に過ぎないと思わせる豪脚で新年も快進撃を続けよう。


 

 兄の太志(107期)を追っての競輪界入り。自転車経験が浅く、デビュー後もやや苦戦が続くも、その実力の一端は随所で見せている。10月平FIIは232着。しかも内容も立派だった。3日間先行で勝負し、決勝は同期の照井拓成の超快速まくりに屈したが、個人上り11秒8でしぶとく粘り込み、初の決勝進出にして準Vと結果を出した。その後も11月松山FIIナイター、12月小松島FIIで優参。暮れの松戸FIIナイターでは“どこからでもまくれる手応えがあったのに気持ちで負けた”と決勝進出を逃したものの、新年の飛躍を期待させるには十分な脚力の持ち主だ。
 「成績が成績なので、ほとんどオフ無しで練習しています。(松戸の)直前も師匠(藤田剣次)に相当シゴかれてきました。自分でメニューを組んだり、自分で考えて練習するのが苦手なのでずっと師匠にくっついて、アマチュアとかとも一緒に練習しています」
 地力アップに懸命だが、練習での強さは半端ないと専らの評判だ。身長181㎝と兄よりも恵まれた体格を誇り、特に“カマシ気味にスピードに乗せていく仕掛け”の破壊力は満点。
 「スタイル的には何が何でも主導権を取るっていうよりは、相手を見ながら仕掛けていきたい」
 課題だった組み立ての甘さも実戦を重ねて解消されてきている。大器の今後の走りからは目が離せない。


 

■Pickup Race

 石井洋輝(写真)が特別昇班を懸けて出撃する。デビュー後は期待通りの活躍を見せており43戦で33勝。レインボーカップ・チャレンジファイナルは4着で特別昇班を逃したが、その後、12月名古屋FIIミッドナイト、同月玉野FIIミッドナイトを連続完全優勝し、3場所連続完全優勝での特別昇班のチャンスをつかんだ。“ここまでしっかりと自分のレースができているし、勝ち星も積み重ねられている。レインボーカップも特班は出来なかったけど、あの状況で先行できたので”。ここも“ホーム、バックを取る”自分の競走で他を圧倒する。
 石井に、浅見隼、宮崎大空、北野佑汰の同期勢が立ち向かう。浅見は11月立川FIIで初Vを3連勝で達成。まだ組み立ての甘さはあるが、先行基本にしっかりレースを組み立てられれば波乱を呼ぶかも。11月富山FIIから優参が続いている宮崎も力を付けてきた。12月当所FIIミッドナイトは連勝で決勝にコマを進めており、今回も地脚を生かした組み立てで対抗する。さらに、北野の先行力にも警戒を要する。“3場所連続で決勝に乗れているし悪くない”と調子は尻上がりだ。
 降格組で新人を脅かすとすれば奥平充男か。今期はデビュー直後の09年前期以来のA級3班。自力基本だが、若手の機動型と一緒なら後ろに付いたり、今は柔軟に立ち回っている。過去にはS級で戦ったこともあるキャリアを生かしていきたい。