『第35回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)レポート』 最終日編

豊橋競輪場を舞台に開催された第35回読売新聞社杯「全日本選抜競輪(GI)」は、2月11日に最終日を迎えた。S級S班6人が勝ち上がった今年最初のGIの決勝を制したのは清水裕友。

先行策に出た松浦悠士とのタッグから、番手まくりでGI初優勝を遂げ、優勝賞金3040万円(副賞含む)を獲得した。また、年末に平塚で行われる「KEIRINグランプリ2020(GP)」の出場権を誰よりも先に手に入れた。

決勝戦出場選手特別紹介
決勝戦出場選手特別紹介
 
DOEEダンスステージ
DOEEダンスステージ
 
大観衆の豊橋けいりん場
大観衆の豊橋けいりん場
 
バンクにて手筒花火披露
バンクにて手筒花火披露

決勝戦 レース経過

 号砲で飛び出した三谷竜生、村上博幸の近畿コンビが前受けし、周回は三谷-村上、松浦悠士-清水裕友、平原康多-佐藤慎太郎、郡司浩平-和田健太郎、山田英明の並び。
 郡司が赤板1コーナーで、続いた平原が1センターで切って先頭に立つが、ここでは松浦は動かない。打鐘で三谷が切ると、松浦はこの動きに乗って打鐘過ぎ4コーナーから主導権を握る。合わせるように踏んだ三谷が3番手を取り切ると、中国コンビと口が空いた単騎の山田は5番手に降り、6番手に平原、8番手に郡司で最終ホームを通過する。車間を切って別線の反撃に備えていた清水は三谷のバックまくりに合わせて3コーナーから踏み上げる。後位に付き直す形になった三谷に代わり、バックまくりの山田が清水に詰め寄るが、直線で三谷と接触したこともあって届かない。松浦の気持ちに応えた清水が悲願のGI初優勝。山田の仕掛けに続いた平原が外を2着に突っ込んだ。


 
 
 

<4R>

稲垣裕之選手
稲垣裕之選手
 山田久徳をけん制しながら藤根俊貴ラインを受けた長島大介は、4番手に入る。一本棒の7番手に置かれた山田は、最終ホーム手前から強引に仕掛ける。山田のスピードが良く、バック手前で前団を仕留める。山田マークの稲垣裕之(写真)が、直線で抜け出してGIで久々の勝ち星を飾った。
 「(山田)久徳が冷静に構えてくれたし、(最終)ホームの巻き返しがすごかった。久徳を残したかったけど、園田(匠)君も来てたんで踏ませてもらった。どの格のレースでも最終日っていうのが、自分の現状だと思うのでそこで1着を目指している。敗者戦でも気持ちを切らさずです」
 3日目に落車している園田匠だが、京都コンビ後位から追い込んで2着。
 「(山田は)仕掛けないことはないし、力でねじ伏せてくれるかと思って、ああいう立ち回りになりました。もったいない、普通だったらもっと(伸びてもいい)。体より自転車のセッティングが…。次までには、なんとかなると思います」

<7R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 赤板で5番手から先に動いて切った渡邉雄太を、竹内雄作が打鐘で叩いて先行態勢を取る。小川真太郎が外を追い上げて、3番手の位置を渡邉と取り合う。前受けから後方まで下げて態勢を整えた吉澤純平(写真)が、最終1センターから外を力強くまくって快勝。シリーズ2勝目を挙げた。
 「風も強かったので周りを見ながらですね。前が併走になったので、タイミングも取りやすくなってまくり切れました。昨日(3日目)は道中で踏みすぎてしまったり、組み立てが甘かったりで、もう一度踏みたいときに力が残っていませんでしたね。今後は先行を含めてはもちろん、レースで無駄をなくして勝てるように」
 吉澤マークの杉森輝大は、直線で岡村潤に踏み負けて3着。
 「前と遠かったので(吉澤)純平もまくり切れるのかなって。ちょっと見てしまいましたね。初めてですねこんな感じは…。失敗してしまいました」

<9R>

菅田壱道選手
菅田壱道選手
 ナショナルチームの松井宏佑と山崎賢人が激突する注目カード。後ろ攻めを選択した山崎は赤板の1コーナーで先頭に立って後続は1本棒に。2日目とほぼ同じ状況で7番手に置かれた松井は、打鐘前からスパート。懸命に抵抗する山崎を最終ホーム過ぎに叩き切るが、後方で戦況を見極めていた菅田壱道(写真)が2コーナーから好回転でまくり上げる。松谷秀幸のけん制を乗り越えた菅田がシリーズ3勝で締めくくった。
 「イナショウ(稲川翔)と位置取り争いになるくらいなら、松井を引かせてあの位置ならと思って。でも、すかさず巻き返しに行きましたね。結果的に踏み合ってまくれました。やっぱりデキは申し分なかったですね。このデキでしっかり決勝に乗りたかった。じゃないと意味がないので。課題も見つかりましたけど、地力も上がっていることがわかった。静岡ダービーに向けてさらに上げていきたい」
 3着の松谷秀幸は、シリーズ2度目となる松井との連係を振り返る。
 「えげつないスピードでしたよ。2日目が本当にもったいない。あの上を叩き切る力とスピードがあるんですから。菅田を止めたかったけど、イナショウが前輪を差し込んでいて持っていったら落車する感じだったので一瞬待ったらタイミングがズレてしまった。悔しいですね。でも松井は本当に強いし、離れそうでしたよ」

<10R>

佐々木雄一選手
佐々木雄一選手
 前受けの原田研太朗を新山響平が押さえると、中部コンビ、単騎の木暮安由が切り替え、浮いた鈴木裕は6番手に収まる。原田は一本棒の7番手に置かれ、新山は落ち着いたペース配分で、最終ホーム手前から徐々に上げていく。2コーナーからまくった原田は、鈴木に合わされ不発。番手絶好の佐々木雄一(写真)が、新山を交わした。
 「後ろにサカちゃん(坂口晃輔)がいたからね、絶対に(内は)空けられないと思った。あとは(ラインが)2車だし、前の新山が全部やってくれた。うまくペースで駆けていた」
 原田を不発にしてラインで上位を独占した新山響平が2着に粘った。
 「展開一本ですね、あとは原田さんだけ。(佐々木)雄一さんがしっかり締めていてくれたんで、自分は楽に駆けられました。徐々に上げていって、(最終)バックでまた上げていった。思ったより自分の力が上がっていることがわかったし、最初から100パーセントで行くんじゃなくうまく自分の力をコントロールして駆けられるようになった」

<11R>

浅井康太選手
浅井康太選手
 宮本隼輔、吉田拓矢の順で押さえて出たところを小松崎大地が打鐘で叩いて先行態勢に入る。6番手となった宮本は2センターからすかさず反撃に出て小松崎と激しくもがき合う。これで流れが向いた浅井康太(写真)が中四国勢を追いかける形から外を豪快にまくって連勝を飾った。
 「先行力がある若い2人に、調子がいい小松崎さんもいる細切れ戦で勝ち切れたのは大きい。昨日(3日目)も自力で勝ち切れたし、まだ肩に違和感があるなかでもしっかりと戦えているので。昨日、(吉田)敏洋さんとも話して、早く戻すには自力で戦うことが一番だって。昨日、今日(最終日)と金子さんと決まって良かった」
 浅井を追走した金子貴志は、写真判定の末に諸橋愛と2着同着。
 「昨日(3日目)もですけど浅井が強かったですね。戻っているなって感じで。ファンの応援も力になりました。豊橋じゃないって思うくらい入ってますね」

<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 清水裕友(写真)がGI初制覇を果たした。レースは郡司浩平、平原康多、三谷竜生の順で切ったうえを松浦悠士が打鐘の2センターで叩いて逃げる。松浦の後ろで間合いを取った清水が3コーナーから番手まくりを打って後続の追撃を振り切った。
 「(GI初制覇は)とてもうれしいですけど、松浦さんの怪我が心配ですね。いざ獲ったけど今はまだ実感がないですね。オッズを見て自分から売れていたので応えられて良かったです。2回節連続で中国地区で(GIを)獲れたのは大きい。松浦さんが(仕掛けを)1回待ったのでドキドキしました。行き切るなって思いましたけど、(三谷)竜生さんが粘りそうだったので集中して。誰が来たかはわからなかったけど気配を感じて。待って潰れるよりも前に出ようと。余裕があれば松浦さんとゴール前勝負ができたと思うし、練習で磨いていきたい」
 直線で鋭い伸びを披露した平原康多が2着に入った。
 「三谷が切ると思わなくて。あの2車が余計でしたね。ヒデ(山田)もいたから3車になって。感じは悪くなかったし、チャンスはあったと思うんですけどね。これが今の実力です」
 単騎で5番手から懸命にまくり上げた山田英明は、平原に伸び負けて3着。
 「初手の位置は流れでしたけど、やっぱり松浦の3番手は理想でしたね。でも三谷が切ったので。行けるかどうかじゃなくて行ってみてどうかって感じでした。(清水)裕友も強かったけど、でもダメですね。平原さんに抜かれては」

次回のグレードレースは、2月14日~16日まで小倉競輪場において第2回濱田翁カップ(GIII)が開催されます。
武田豊樹はじめ、佐藤友和、海老根恵太など実績ある選手たちを北津留翼、小川勇介ら九州勢が迎え撃つ様相の今シリーズ。
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