【ROOKIES】迫力を増す高田修汰

■Pickup Rookie

 “先行しようと思っていたけど、思い通りに走れなかった”。高田修汰(写真)は、学校での競走訓練をゼロ勝に終わった目立たない存在だった。ところが、デビューするやその存在感は増す一方だ。11月小田原FII以降の12場所は予選、準決をオール連対し準V2回、決勝3着3回。未だ優勝がないのが信じられない強さ。積極果敢なレース運びからも、優勝を重ねている同期とも決して見劣りしない。
 「S級でも先行で通用するような選手を目指しています。先行で勝ち続けていきたいので、レースでは主導権を取ることを第一に考えています」
 レースに慣れるまでは、“出し切れずに終わってしまうところ”を課題に挙げていたが、それももう過去の話。弱冠20才の新鋭は立ち止まることなく成長を続ける。
 「自分の思うようなレースができるようになってきました。毎回、ゴール前で失速して差されることが多いのでそこだけですね」
 バランスの取れた脚質で、突っ張っても、押さえ先行でも、カマシでも力を発揮できるが、最も威力があるのは“得意”と話すカマシ。“いい波に乗っていって優勝したい”。善戦マンのイメージはもう振り払い、7月からの2班昇格に向けてVラッシュといきたい。


 

 115回生で、最も苦戦していたのは緒方慎太朗(写真)だ。デビュー戦の7月岐阜FIIの予選は、レースを見た同県の先輩も“びっくりした”と話す派手な内抜き1着失格。その後は準決にもなかなか勝ち上がれない苦戦が続いた。徐々にレースにも慣れていって、負け戦では連に絡んでいたものの、最初の期は代謝の対象になる競走得点66点台で終えた。ところがである。1月前橋FIIミッドナイトで予選を逃げ切ってから気配が一変した。続く2月広島FIIモーニングで初の決勝進出に成功。その後の3場所はまた予選で飛んだが、敗者戦6戦を全て逃げ切って白星。そして、直前の3月高松FIIモーニングでも優参。短期間でここまでの変わり身を見せた選手も珍しい。
 「最初の頃に比べれば良くなりましたね。デビュー戦の失格でつまずいてしまって、周りを冷静に見れていなかったんですけど、最近は落ち着いて走れているし、レース展開がだんだん分かるようになってきました。まだ初日はすごく緊張しますけど」
 決まり手の90%が先行と言う徹底先行。苦境にも腐らずに自分の競走を貫いて、今期当初に目標にしていた競走得点70点も楽に突破した。
 「脚質はダッシュなんですけど、まくりは得意じゃない。自分でレースを動かして先行していくのが持ち味です。やっとちゃんと先行できるようになったけど、叩いてから上バンクに上がったりするとか、相手が叩きにくいようにヨコの動きも工夫するとか、もっと出切ってからペースで回したりとか色々と覚えていかないと」
 このままの勢いで行けば来年には1・2班戦に昇格も果たす。それまでにはさらに総合力を伸ばしていく。


 

 藤井稜也(写真)も、117期の新人が本格的にデビューしてくる7月以降もチャレンジ残留と苦戦している。準決が高い壁となり、初の優参は前期最終戦の12月西武園FIIミッドナイトフィナーレだった。今期もまだ足踏み状態が続いている。
 「まだ成績は良くないですね。最初は緊張感があったけど、レースの感じには慣れてきました。まだ練習の脚は出せてないけど。脚質は地脚です。だから主導権を取って、自分のペースに持ち込みたい。先行基本にやってるけど、最後に行かれたりするし、ペース配分とかが課題です」
 しかし、発奮材料があった。2月前橋FIIミッドナイトでは兄の準也(105期)と初めて同じあっせんとなった。1・2班戦を走る兄が初日特選から連勝で決勝に勝ち上がると、藤井も22着で今年初優参。準決は単騎でカマしてくる形となった下野義城の番手にハマったが、下野が伊藤奎にまくられると、その3番手に切り替えての追い込み勝負。本来の走りではなかったが必死な姿勢が目を引いた。さらに続く3月松阪FIIモーニングでも優参。準決は、同期の原田亮太に叩かれても、“気持ちの弱さ”が出ず、諦めずに踏み続けたのが功を奏した。一足飛びに強くなるのは厳しいが、117期勢と対戦するまでにもっともっと結果も出して手応えをつかんでいきたい。