『青森国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)レポート』 最終日編

第11回国際自転車トラック競技支援競輪(GIII)は6月14日、4日間に渡る熱戦に幕を下ろした。

注目の決勝戦は後方7番手からまくった長島大介に乗った隅田洋介が直線強襲。

GIII初制覇を成し遂げた。

勝戦 レース経過

 号砲で飛び出した最内枠の渡邉晴智が前を取り、蒔田英彦-山賀雅仁を迎え入れて南関勢が前受け。以下は、鈴木庸之-朝倉佳弘、長島大介-隅田洋介、伊早坂駿一-山下渡で周回を重ねる。
 青板の2センターから動きかけた伊早坂を長島がけん制し、先に上昇した鈴木が蒔田を押さえてハナに立つ。そこを赤板の1センターで伊早坂が叩いて先制。蒔田はすかさず巻き返しを図るも、伊早坂のスピードに車は進まず、5番手に戻って打鐘を迎える。最終ホームから再び仕掛けた蒔田だったが、力尽きて後退。逃げる伊早坂に、次に2コーナー手前3番手から鈴木が襲い掛かり、さらに後方から長島もまくり上げる。バックで先頭に立った鈴木に好回転で迫った長島だったが、朝倉のブロックでスピードが鈍り直線へ。それでも長島に勢いをもらった隅田は大外を鋭く伸びてGIII初優勝を飾った。


隅田洋介選手
隅田洋介選手

 アッと驚く結末だった。今期の競走得点は96点台。前検日には「S級点に勝負駆け」と話していた隅田洋介(写真)がS級初決勝の舞台で大仕事をやってのけた。
 「GIIIの決勝はもちろん、FIも準決勝4着が最高でS級で決勝に乗ったのは今回が初めてなんです。今回は本当に恵まれました。持ってますね」
 二次予選Aでもワンツーを決めていた信頼できる練習仲間の長島大介の番手回り。まくりのスピードをもらって、Vロードを駆け抜けた。
 「全部、(長島)大介にお任せしてました。普段、一緒に練習している仲で強さは知っているので。大介が行けるかなって思ってました。そうすれば差してワンツーですからね。でも、止まってしまったんで最後は外を踏ませてもらいました」
 この優勝で11月に行われる小倉競輪祭の出場権利を獲得したが、7月にA級降格が決まっている。出場するには選考期間の8月末までにS級に特進するしかない。
 「来期はA級なんですけど、とりあえず自力で、あとは相手次第で臨機応変に走ろうと思っています。やっぱりS級で先行で逃げ切って、上に上がれる選手になりたい。競輪祭のこともあるので、特進してS級に戻れればいいですね。とりあえず1個ずつ積み上げていくしかないです」
 GIIIウィナーとして、周りからの注目度は格段に高まる。これからどんな走りを見せてくれるのか楽しみだ。

 位置を取ってからのまくりで出し切った鈴木庸之だが、惜しくも優勝に手が届かなかった。
 「(伊早坂が)ジャンであんなにフカすと思わなくて普通に前に離れた。先に切って伊早坂が来て、ホームではいっぱいだった。(位置を取ったあとは)まくりにスイッチか、止めて出るかで、(蒔田を)止めたら止まったので。(最後は)フラフラでしたね。『競輪』はできたし、いつも通りの動きができた。これで競輪祭に出れるので頑張りたいですね。車輪とかいじれる部分もありますね。運が良くてじゃなくて、脚が戻って連にからめています」

 後方から懸命にまくり上げた長島大介は3着に入るのが精いっぱいだった。
 「外々をまくっていっぱいになった。キツい位置でしたね。初手でああなるなと。本当はノブ(鈴木)さんの動きがしたかったけど、それはお互いが思っていること。力がなかったですね。仕方がない。最低限でした。(隅田の優勝は)栃木の選手みんながびっくりでした」

 GIII初決勝に挑んだ伊早坂駿一はライン2車でも果敢に主導権を握った。
 「ただ先行するだけっていう感じになってしまいました。蒔田さんが来たのが見えて、そこからもう全開でした。もうちょっと引きつけるなりして、踏み方を考えないといけないですね。でも、いい経験になりました」

 同じくGIII初優出の蒔田英彦はライン3車の強みを生かせなかった。
 「初めてのGIII決勝は何もさせてもらえなかった。ノブ(鈴木)に上手く立ち回られて難しかった。想定外の競走になった時に切り替えられなかった。これがGIIIの決勝なんですね」

 蒔田の番手を回った山賀雅仁も見せ場なく敗れた。
 「二次予選、準決勝と人の後ろだったし、(決勝に)運よく乗れたって感じだった。そういう時は勝てないですよね。でも一番悔しいのはマッキー(蒔田)のダッシュに離れたことですね」
 
6月18日~21日の日程で和歌山競輪場にて第71回高松宮記念杯競輪が開催されます。
新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、日本選手権競輪が中止となったため、2月に開催された全日本選抜競輪以来のGI開催となります。
オリンピック自転車トラック競技日本代表に内定した、脇本雄太新田祐大をはじめ、今年初めてS班9名が参戦するファン必見の4日間です。
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