『第61回朝日新聞社杯競輪祭(GI)レポート』 初日編

 今年最後のGI「第61回朝日新聞社競輪祭(GI)」が11月19日に幕を開けた。
男子の一次予選1では吉澤純平に新山響平、鈴木竜士ら7名が勝ち名乗り。
それぞれ10ポイントを獲得した。後半戦の「ガールズグランプリトライアル2019」の
グループBアメジストは梅川風子、児玉碧衣が人気に応えて1着。
グループAトパーズは石井貴子、小林優香が白星スタートを飾った。
2日目の20日はガールズの予選2、男子は残りの一次予選1と一次予選2走目の2が行われる。


2日目の20日も健太康太のライブ、緒方浩一氏と坂本勉氏による競輪専門解説者予想会、
競輪専門紙コンドルによる全レース解説会など場内イベントは満載。

ぜひ本場でお楽しみください。

開会式
開会式

 

敢闘宣言をする園田匠選手と児玉碧衣選手
敢闘宣言をする園田匠選手と児玉碧衣選手

<1R>

稲川翔選手
稲川翔選手
 赤板過ぎに切った簗田一輝を杉森輝大が押さえる。これで7番手となった稲毛健太は2コーナーから一気に踏み込んで主導権奪取。4番手に杉森、6番手に簗田が収まり、人気の中川誠一郎は8番手に置かれる。稲毛が快調に飛ばして、別線は手も足もでない。最後は番手絶好の稲川翔(写真)が追い込んだ。
 「(稲毛は)自信を持ってますよね。強かったです。ギリギリ抜けるか抜けないかで決まると思ったけど、柏野(智典)さんも強かった。前回よりはいいと思います。ひとつでも上のレースを目指して頑張ります」
 稲毛健太は狙いどおりのレース運びで3着に逃げ粘った。
 「とりあえず自分のレースだけはしっかりやろうと思ってました。前に出れば大丈夫かなって。(初手は)ほしい位置が取れたし、出てからは(中川)誠一郎さんにカマされないように踏みました。ジャンのところでもう少し楽に出れれば逃げ切れたと思います」

<2R>

吉澤純平選手
吉澤純平選手
 赤板ホーム過ぎに和田真久留が誘導員を下ろすと、この動きに松浦悠士、さらに吉澤純平(写真)も続く。和田、松浦が中バンクに上がると、1センターから吉澤が内に切り込んで先頭に。永井清史や松浦の巻き返しに合わせてホーム手前からピッチを上げると、そのまま逃げ切った。
 「松浦より前にいなきゃと思った。(1センターで)内に差し込んだし、緩んだので行った感じ。ある程度、距離も踏めたんで良かったです。(かかっていたかは)緊張もあって必死だったので分からない。調子も上がってきてたんで、もうちょっといい結果が出せるようにですね」
 永井に合わせて最終ホーム手前から仕掛けた松浦悠士は吉澤に合わされてしまったが、3番手外併走を耐えて3着に食い込んだ。
 「緊張感はなかったけど、後ろを見すぎてタイミングをなくした感じ。(吉澤に内を)先に行かれたって感じでした。吉澤さんは(打鐘過ぎ)2センターでは駆けるかなと思ったら駆けなかったんで、無理やり行った感じ。浮いて、終わってるかもしれないパターンをしのげてるんでね。脚の感じが悪くないのは確認できたので、次頑張りたい」

<3R>

武藤龍生選手
武藤龍生選手
 GI初出場の武藤龍生(写真)がデビュー戦でいきなり初勝利。打鐘過ぎ2センターから先行する松本貴治の3番手を終始追走すると、古性優作のまくりをけん制した阿竹智史の内をすくって突き抜けた。
 「理想はあそこ(四国勢の後ろ)を取れるのが一番。いい感じで3番手を取れたので。そこからは落ち着いて、前の動きとかを見ながら走れた。阿竹さんも自力があるし、前に踏むのか横に振るのか見極めて。踏んだら付いていって、振れば内。思った感じで走れました。緊張はすごくしてたけど、父(嘉伸・59期)も選手で昔からGIはすごい特別だと思って育ってきた。そこを走れて幸せだなと思ったら吹っ切れました。(勝てて)うれしいです」
 中本匠栄の仕掛けに離れ、バック9番手になってしまった坂本健太郎だったが、2センターから踏み込むと大外を3着に強襲した。
 「バックで千切れそうだったし、9着だと思ってました。そしたら前が団子になって、最終的にはいつもの好きな展開になった。あれ?アタマまで伸びるんじゃねーか?と思ったけど、そこはGIでしたね(笑)。和歌山が終わって(ふくらはぎが)肉離れになりかけたけど、休んだ甲斐があって特に問題ないです」

<4R>

新山響平選手
新山響平選手
 別線の切り合いを見極めて落ち着いて、赤板2コーナー過ぎに出た太田竜馬の主導権。近畿コンビが中団を確保して、6番手に志佐明。萩原孝之は連結を外して新山響平(写真)が、一本棒の7番手で最終ホームを通過する。1センターからまくり上げた志佐に乗った新山は、その上を圧巻のスピードでまくって3番手以下をちぎる。マーク諸橋愛との直線勝負も楽に制した。
 「太田君をまくり切れたのはデカい。志佐さんが先に仕掛けてくれたのはだいぶ助かったし、それで展開が味方した。(直前までのナショナルチームの練習で)体は重くて疲れもあるけど力が入る。(シリーズの)後半に軽くなってくれれば」
 差し脚を伸ばした諸橋愛だったが、半車身まで詰めたところがゴール。
 「追走で苦しいとかではなくて、前を見る余裕もあった。自分の調子をみていたけど、あのまくりを差せないと優勝はない。抜きたかったな。それが正直なところ。でも、新山もまくりながら流していたからね」

<5R>

鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 後ろ攻めから動いて赤板過ぎに切った鈴木竜士(写真)を佐々木豪がすかさず押さえて逃げる。番手の井上昌己は車間を大きく空けて後続をけん制。詰める勢いで最終3コーナーから外を踏み上げるが、その後位を確保していた鈴木が内から追い抜いた。
 「作戦はなくて、初手もどこでも良かった。しっかり流れに応じて走ろうと思ってました。うまくはまってくれました。最後は微妙なラインなら行ってないけど、けっこう(井上が外に)外していたので。そこを突くしかなかったですね。見えていました。脚以上に反応がいいです」
 番手まくりの井上昌己が2着に入った。
 「(佐々木は)好きに走ってくれて良かったんですけどね。頑張ってくれました。踏み込んだ時の感触はいまいちだったので、そこは修正したいですね。微調整します」

<6R>

山崎芳仁選手
山崎芳仁選手
 大方の予想通り竹内雄作が、主導権を握って駆ける。中近ライン3車を受けた渡邉一成が4番手に入り、6番手からまくった原田研太朗に合わせて踏み込む。原田をけん制して渡邉一を追走した山崎芳仁(写真)は、渡邉一の余力を確かめて直線で追い込み突き抜けた。
 「ちょっとだけ余裕がありましたね、ちょっとだけ。いい位置は取れたけどかぶったらマズいと思って、(原田を)張ったら(渡邉)一成が前に踏んでくれた。(渡邉一は)乗り越えると思ったら止まったので、様子を見て直線勝負と思いました」
 外に浮かされた原田研太朗だったが、立て直し2着に強襲した。
 「山中(秀将)さんが来てしまったので、タイミングを取る間もなく仕掛けたけど山崎さんにもってこられてしんどかった。車も進んでいなかったですね。結果2着ですけど内容がない」

<7R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 5番手から先に切って根田空史の仕掛けを受けた清水裕友は3番手を確保。バックまくりで前団を飲み込むと、続いた渡部哲男(写真)がゴール前で逆転した。
 「防府記念で裕友と走ったのが良かった。久しぶりだったら緊張してた。でも強いっすよ。(根田が)かかってたから、まくり追い込みかと思ったけど、さすがですね。詰めながら行ったし、キツかったと思う。体調面も不安だったし、緊張したけど1着取れたのでね」
 清水裕友は切って、飛びついて、バックまくりと出し切ったレースを満足げに振り返る。
 「果てました(笑)。走る前はボケーッとしてたけど、走りだしたらええレースができました。初手的に7番手になるんで、切ってから勝負かなと。根田さんもすんなり先行なんで、あんなに出るとは思わなかった。半信半疑で合わされると思ったけど出てくれましたね。勝手に体が動いてくれた感じがあるし、2走目は今日(初日)より良くなると思う」

<8R>

松谷秀幸選手
松谷秀幸選手
 スタート直後に藤根俊貴が落車のアクシデントで再発走。久米康平が先頭に立ち、藤根の外で併走した平原康多は3番手勝負かに思われた。が、平原が打鐘手前から仕掛けて先行態勢を取る。後方から巻き返した不破将登は松谷秀幸(写真)のブロックで不発。平原の先行で絶好の展開が訪れた松谷が、抜け出して通算200勝を飾った。
 「スーパースター(平原)はやっぱりすごい。打鐘で外併走かと思ったけど、あそこで行くんだと。さすがだし強い。(通算200勝を)平原の後ろでっていうのも良かった。他地区で東(日本)でってことだったけど、いつもに増していい緊張感があった」
 逃げた平原康多はゴール前で3着に沈んだものの、その競走内容は高く評価できる。
 「展開がああなったんで腹をくくった。いつも先行を考えていますからね。苦しかった。最後でスピードが落ちましたね。脚が足りていない。(藤根と接触して再発走で)それで取り乱さないようにと。自分がコケなかっただけでも」

<9R>

梅川風子選手
梅川風子選手
 梅川風子(写真)が打鐘の3コーナーで4番手に位置から踏み上げる。合わせて2番手から動いた中嶋里美を最終ホームで叩いた梅川が主導権。そのまま後続の追撃を力強く振り切った。
 「初手はいい位置じゃなかったけど、結果的に悪くなかったですね。ナカジ(中嶋)が行って、その上だったのでキツかったです。出てからは楽だったんですが、残り200(メートル)はあんまり感触が良くなかったです。初日でなんかフワッとしてました」
 前々に攻めた中嶋里美が梅川の後位にはまって2着に流れ込んだ。
 「前々に踏んでいけました。その結果ですね。2走目が大事だと思うんで、しっかり走りたいと思います」

<10R>

児玉碧衣選手
児玉碧衣選手
 初手の隊列から変化のないまま打鐘で誘導員が退避する。前受けの加藤恵が腹をくくって主導権を握ると、吉岡詩織の巻き返しに合わせて2番手の尾崎睦が2コーナーまくり。浮いてしまった吉岡の外を回される形になった児玉碧衣(写真)だったが、2センターで尾崎をとらえると見事人気に応えた。
 「(吉岡は)ダッシュがいいのであそこ(ホーム前)で仕掛けても外々を踏まされると思った。(あおりもあって)外々を踏まされて3コーナーも登って、むっちゃん(尾崎)が番手発進の上を行けたので調子はいいと思う。あの仕掛けで11秒9ならもっといいコースを踏めればもっといいタイムが出そう。今回はしっかりと練習してきたので、余裕はなかったけど自信はあった」
 同期対決に燃えていた尾崎睦は先まくりで善戦するも2着まで。
 「先まくりが理想というか、それしかないと思っていたので。いい展開になって3コーナーでイケるかなって思ったけど強かった。でも今までで一番(児玉と)いい勝負ができたと思う」

<11R>

石井貴子選手
石井貴子選手
 鈴木美教が6番手から動いて打鐘前に誘導員を下ろすと、土屋珠理を受けて車間を切った2番手で追走する。ホームから大久保花梨が仕掛けるが、鈴木が合わせて踏み上げバックまくり。大久保は合わされ外に浮いてしまうが、その外を真後ろから仕掛けた石井貴子(写真)が1着をゲットした。
 「ちょっと読みづらいというか、Bブロック(12R)よりもコテコテ自力が少ない構成で枠に助けられたかなと。初手は2、3(番手)ぐらいから前に前にと。(内枠が)ありがたいですね。自分がちゃんと出て行けるコースを走らないと、かぶらないで良かったです。大久保さんも苦しそうだったし、鈴木さんの後ろだとかぶってしまうので。(最終バック手前で)ここからだったら行ってみましょうかと行ってみました。後ろはわからなかったけど、とりあえず自分は出し切ったかなと思います」
 周回中から石井貴子の後ろにいた高木真備が石井貴の仕掛けに続く形で流れ込んだ。
 「全然何もできなかったです。大敗しなかっただけ良かったけど、レース内容的にも全然ダメでした。脚は問題ないです」

<12R>

小林優香選手
小林優香選手
 赤板前から上昇した長澤彩が3番手の小林優香にフタをすると、小林は1コーナーで車を下げる。打鐘を合図に誘導員が退避。最後方の柳原真緒が3コーナーから仕掛けるが、前受けの坂口楓華もピッチを上げて出させない。ホームからまくった小林優香(写真)に対し、長澤は1センターからインまくりで抵抗するが小林が豪快に前団を飲み込んで力の違いを見せた。
 「久々で緊張したが、気合は入っていた。競技用の自転車とは違うが、ここに向けて調整してきたので、うまく対応できた。包まれる展開は予想してきたので焦りはなかった。行けるところから行けて良かった」
 1センターから内を踏んでバックで坂口の前に出た長澤彩。最後は小林優のまくりに屈したものの2着に粘った。
 「内が空いていたので、行くしかないと。あとはどこまで粘れるか。本当は1着を取りたかったが、(小林優が)強すぎた。判断は良かったと思う」

<2日目一次予選1・1R>

松井宏佑選手
松井宏佑選手
 松井宏佑(写真)は11月にベラルーシのミンスクで行われたワールドカップの男子ケイリンで銅メダルを獲得。ナショナルチームの新星として世界の舞台で活躍している。
 「正直、メダルまで届くとは思わなかったです。自信につながります。日本の競輪もまだまだなんで、もっと結果を残せていければと思ってます。先週の水曜日の夜に帰国して、まだ時差ボケがあって体はだるいですね。でも、初日は走らないので。自分の持ってる脚をしっかり出せれば大丈夫だと思ってます」
 稲垣裕之は11月四日市記念で決勝進出を逃したが、きっちり立て直してきた。
 「四日市の3日目に腰痛が出ました。けっこうひどかったんですけど、終わってからしっかりケアしたので不安はないです。四日市の時にセッティングをいろいろ試して感じは良くなってます。若い力に負けないように頑張ります」

<2日目一次予選1・2R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 岩本俊介(写真)は怒涛の白星ラッシュ。タテ攻撃が冴え渡っている。
 「最近はしっかり動けていると思います。でも、大事なところで勝ち損ねることも多いのが課題ですね。ここに向けてやれることは全てやってきました。バッチリです。予選ポイント制はあまり意識してないし、しっかり力を出し切るレースをして、ラインで決めたいですね」
 宮本隼輔は8月オールスター、10月寬仁親王牌とGIで大敗を喫している。
 「まだ2年目なので、ゆっくり自分のペースで上がっていければと思ってます。気持ちが大事ですね。脚はここ最近では一番いいです。岩本さんには負けているのでリベンジしたいですね」

<2日目一次予選1・3R>

三谷竜生選手
三谷竜生選手
 三谷竜生(写真)は10月千葉記念in松戸で今年初優勝を飾った。続く同月寬仁親王牌で準V。11月防府記念の決勝は単騎のカマシ先行で3着に粘った。
 「最近はしっかり動けていると思います。防府の決勝はある程度、狙ってました。あれで優勝できたら格好良かったんですけどね。もうちょっとでした。ここで優勝しないとグランプリに出れないですけど、もちろんそこを目指してやっているので。しっかり頑張ります」
 近藤隆司は落車の怪我から復帰2場所目で上積みが見込める。
 「腰を痛めて前回の四日市記念はあんまり感触が良くなかったんです。終わってから1週間あって練習はやってきたので、前回よりはいいと思います。細切れなんでタイミングを逃さずに仕掛けたいです」

<2日目一次予選1・4R>

木暮安由選手
木暮安由選手
 木暮安由(写真)は10月の地元寬仁親王牌で優出。その後はFIシリーズで3場所、決勝に乗っている。
 「成績は少しムラがありますけど、自分のやりたいレースはできています。こういう大きいところでしっかり結果を出したいですね。ここに向けては普通に練習してきました。状態は変わらずいいです。山岸(佳太)君とは何度も連係しているし、信頼して付いていきます」
 南潤は11月の地元和歌山FIで大敗。不振にあえいでいる。
 「最近の状態自体はいいんですが、自転車が進まないですね。脚にも気持ちにも余裕はあるので、アレって感じです。原因は自分でも分かりません。前回の地元の和歌山も結果は出なかったんですけど、終わってから練習でしっかりもがけたので、調子は大丈夫です。浅井(康太)さんに任されたので、自分のできることをしっかりやります」