【ROOKIES】高尾貴美歌が大ブレーク!!

■Pickup Race

 2月松阪FIIミッドナイトで高尾貴美歌(写真)が112着と大ブレークを果たした。徐々に優参回数も増やしてきていて成長は窺わせていたが、この活躍は誰も予想できなかっただろう。「前回はいい位置を取れたのに、エッそこみたいなところで動いてしまって。下手なレースをしてしまったので、そこを直さないといけませんね」と控えめに話して臨んだ一戦だった。予選1は佐藤水菜と南円佳でモガき合うところをバック過ぎからまくり一閃。後続に2車身付けての圧勝で3連単66110円の高配当の立役者となった。グランプリレーサーの佐藤を破った高尾は予選2でも大仕事をやってのけた。本命の細田愛未が内に詰まって抜け出せず苦戦する中、今度は2角からまくって快勝。強敵を次々に倒しての連勝での勝ち上がりはニュースター誕生をも予感させるものだった。
 「バックで伸びないことが多かったんですけど、そこが克服できて良かったです。(前走一緒だった石井)寛子さんに練習メニューを教えていただいて、ポジションとかも見てもらって大分変わりました」
 迎えた決勝もサプライズだった。けん制し合う後続を尻目に田仲敦子が先行する意外な展開に。追った細田がまくるが、中嶋里美のまくりが迫ると、初手から細田後位にいた佐藤が2番手まくりで応戦。佐藤と中嶋の踏み合いは佐藤が制するが、佐藤に続いた高尾は直線で外に持ち出してゴール前ひと伸び。優勝した佐藤に2分の1輪差まで迫った。
 “ダメでした。(優勝は)私にはまだ早かったです”と悔しがったが、今回の走りを忘れなければ優勝も遠くなさそう。3月の誕生日でようやく20歳を迎える若さが光る。流れに乗っていって自力を出す走りからは目が離せない。


 

 2月松阪FIIミッドナイトでは決勝に乗った高尾貴美歌、南円佳だけでなく、新井美菜(写真)も新鋭116期生ここにありというと猛アピールする走りで爪痕を残した。元々、アマチュア時代には中距離種目で実績を残していたポテンシャルの高い選手だ。ところが、デビュー後は6着、7着のオンパレード。ここまでを振り返って、“結果が残せず苦しいですね。(競技はやっていたけど)トップスピードがあまり高くないのでなかなか…”と胸の内を明かしていた。
 松阪も予選は結果だけ見ると6着、7着ではあったが、内容がこれまでと違った。予選1は最後方から上がって打鐘3コーナーで先頭に立つも中嶋里美の仕掛けを合わせ切れずにホーム前に叩かれてしまったが、“最終バックがゴールくらいのつもりで全力で行った”予選2は最後方からのカマシで佐藤水菜を叩いて先行すると最終3コーナーまで粘った。“キツかったけど、バックが取れたのは良かった”と言う実戦気配の良さがそのまま出たのが最終日の走りだ。逃げた飯田よしのの2番手にハマるも、最終2コーナーからすかさずまくり発進。まくり迫る佐藤友香らを振り切って通算2勝目をゲットした。
 「やっと2勝目ですが、(高校の先輩で練習仲間の)細田(愛未)さんからの"良かったじゃん"の一言が本当に嬉しかったです。最近、(11月の)落車明けの12月、1月くらいからウエイトをやり始めました。上半身を鍛えるようにしています」
 乗り込みだけでなく、ウエイトも始めた成果が早速出たか。いつまでもうつむいていられない。確かな手応えをつかんで、ここからが本当のスタートだ。


 

 2月松阪FIIミッドナイトのチャレンジ戦では、武田亮(写真)完全優勝。115期20人目の特別昇班を達成した。初の地元京王閣戦ということで、強い気持ちで挑んだ前走のFIIナイターでは同期の南蓮、阿部架惟都らを総力戦で撃破。「(レースは)前受けで、引いてすぐにカマそうと思っていたら、なかなか来なくて。引けなくなったんで(阿部の番手で)粘ろうと。後は(南が)来たら負けられないと思ってバックから踏みました。思った以上の激戦でした。次走は気合を入れて9連勝を目指します」と宣言して臨んだ一戦だった。
 その松阪は準決勝で勝負ありだったかも知れない。武田は上がり11秒4という驚異のタイムを叩き出してまくり圧勝。“初日より全然良かった”と自信を深めるに十分な走りだった。対する同期のライバルである野上竜太、松尾勇吾も負けじと連勝で勝ち上がったが、準決勝の結果でともに決勝は単騎戦になってしまった。決勝は、3車そろった近畿勢の上昇に合わせて踏んだ武田が難なく4番手を確保。前との車間を切って6番手の松尾、7番手の野上に睨みを利かした武田は詰める勢いで2角から発進。番手まくりで応戦の関谷哲平をあっさり飲み込むと、セーフティーリードを保ったままゴールした。
 「同期2人の動きを警戒して走ってました。1周くらいならどっちも飛んでくるなと思って。車間を空けてるときに踏まれたけど付いていけて良かった。近畿勢の2段駆けはちょっと怖かったんですけど、あのスピードならいけるかなと思いました」
 バック数20回の積極タイプだが、柔軟な攻めで勝ち取った特別昇班。
 「バックはあまり気にしていないんですけど、後手を踏まない様には心掛けてます。まくりでも早めに行くように。最近はそういう競走ができていると思います。(2班に上がって)7車から9車っていうのは結構違うと思うので、そこを師匠(山崎充央)に聞いて対応できるようにしていきたいと思います」
 次走からはまた新たな戦いが始まる。