2020UCIトラック世界選手権レポート(最終日編)

ラック種目の世界選手権最終日は1日、ベルリンで行われ、女子ケイリン小林優香(福岡・106期)、太田りゆ(埼玉・112期)はいずれも1回戦、敗者復活戦と敗れた。東京五輪出場枠1は獲得した。

【女子ケイリン
小林は1回戦5組3位で敗れ、敗者復活戦に回った。残り2周の3番手から前に出る動きを見せたが「躊躇した」。前の2選手をとらえられないままゴール。「ケイリンを大事にしてきたので素直に悔しい。仕掛けるべき所で前に出ていれば何の問題もなかった。力を出し切れなかったことが悔しい」と唇を噛んだ。「ちょっとのミスがあっても勝てることがあるのがワールドカップだが、世界選で勝つには一つの迷いも駄目」と実感を込め「五輪のチャンスがあるなら負けないようにしたい。同じ地脚タイプの脇本さんに負けないように頑張りたい」と意気込んだ。

太田は1回戦2組3位で敗者復活戦へ。残り1周で4番手から加速したが、最終コーナーで1人かわすのがやっとだった。「みんなを巻けるだけのスピードがなかった」と肩を落とし「自分で自分を信じ切れない。そこが強くなるための鍵」と話した。今後の競技への取り組みは明言しなかったが「何もない所からやってきた。ガールズケイリンの子が競技に興味を持っているとも聞く。(挑戦を)受けて立つつもりはある」と気持ちは折れていない様子だった。

1位 ヒンツェ(ドイツ)
2位 イ・ヘジン(韓国)
3位 モートン(豪州)
1回戦、敗者復活戦敗退 小林優香
1回戦、敗者復活戦敗退 太田りゆ


女子ケイリン1回戦 小林優香

 


女子ケイリン1回戦 太田りゆ



【大会総括】
短距離勢では、男子ケイリン脇本雄太(福井・94期)が銀メダルを獲得。日本勢は3年連続で2位となった。得意の先行逃げ切りでの積極的な走りが光った。ブノワ・ベトゥ短距離ヘッドコーチは「完璧なレースだった」とたたえ、中野浩一選手強化委員長も「一安心だ。3年連続で銀が取れるということは、いつ金になってもおかしくない」と評価した。男子スプリントも五輪出場枠1を獲得。ベスト8に新田祐大(福島・90期)と深谷知広(愛知・96期)が食い込み、中野委員長も「(強化の)一定の成果が出ている」とうなずいた。
誤算だったのは男子チームスプリント(TS)と女子ケイリン。男子TSは今季W杯2勝と飛躍し、五輪出場の期待が高まっていただけに、予選落ちで枠獲得を逃したのは痛かった。女子ケイリンは小林、太田ともに一度も勝ち進めず、ブノワ・コーチは「五輪までに環境を変えなければならない」と厳しい表情だった。
中距離勢では梶原悠未(筑波大)が女子オムニアムで優勝。この種目で日本人初の表彰台に立った。男子オムニアムの橋本英也(岐阜・113期)は11位と世界との差を感じる結果となった。女子マディソンも五輪出場枠を確保した。クレイグ・グリフィン中距離ヘッドコーチは「梶原も橋本も五輪までにまだやることはある。足りない部分を埋めていく」と話した。

なお、五輪の国別出場枠は3月中に決定する予定である。

▽男子ケイリン
脇本雄太 2位
新田祐大 12位
河端朋之 準々決勝敗退

▽男子スプリント
深谷知広 準々決勝敗退
新田祐大 準々決勝敗退

▽男子チームスプリント
日本(雨谷、新田、深谷) 予選敗退

▽男子オムニアム
橋本英也 11位

▽男子団体追い抜き
日本(近谷、窪木、今村、沢田) 9位

▽女子ケイリン
小林優香 1回戦、敗者復活戦敗退
太田りゆ 1回戦、敗者復活戦敗退

▽女子スプリント
小林優香 2回戦敗退
太田りゆ 1回戦敗退

▽女子オムニアム
梶原悠未 優勝

▽女子マディソン
日本(古山、中村) 15位

▽女子スクラッチ(非五輪種目)
古山稀絵 22位