『第4回ウィナーズカップ(GII)レポート』 初日編

福井競輪場を舞台に「第4回ウィナーズカップ(GII)」が、3月26日に始まった。一次予選から若手の機動型を中心に白熱のバトルが展開された。初日のメイン、特選では郡司浩平、岩本俊介、清水裕友が、それぞれ白星を挙げて幸先のいいスタートを切った。27日の2日目には初日特選を勝ち上がった9選手による「毘沙門天賞」がメインで行われる。シリーズの行方を占う意味でも見逃せない。
 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、今シリーズは無観客での開催になります。また、2日目の「毘沙門天賞」に出場する9人の共同会見も、同様の観点から中止となりました。どうぞご了承ください。

第4回ウィナーズカップ開会式
第4回ウィナーズカップ開会式

 

開会宣言
開会宣言

<1R>

大槻寛徳選手
大槻寛徳選手
 打鐘手前で出た島川将貴に、すかさず高橋晋也が襲い掛かり両者の踏み合い。突っ張る島川を高橋が最終ホームすぎにねじ伏せて、大槻寛徳(写真)が続く。不破将登が8番手まくりで迫るも、大槻が追い込んで1着。
 「(高橋は)出切って8割くらい使っていると思う。(島川に)合わされたって思いましたよ。レースとしては面白かった。もっと自分に技術があれば(高橋を)2着に残せたかな。諸橋(愛)さんくらい車間を空けたり、技術があれば良かった。(高橋は)つぶしにきている島川を力でねじ伏せるのはすごい」
 好スピードでまくった不破将登は、わずかに届かず。
 「(高橋と島川が)やり合ってくれたら最高だなって思っていました。でも、蒔田(英彦)さんの位置が欲しかったですね。とりあえず先に切ってって考えていたけど、突っ張られてしまった。調子自体はいいけど、組み立てはもう少ししっかりしないと」

<2R>

山本伸一選手
山本伸一選手
 松川高大を押さえて打鐘で先頭に立った古性優作は、巻き返す金子哲大のスピードを見極めて番手に飛び付く。最終1コーナーで藤原憲征をさばいて古性が番手を奪う。逃げる金子後位から追い込む古性を山本伸一(写真)が楽に交わした。
 「古性君はすごいですね。逃げても構わないって感じで踏んでいるし、叩かれればああやってさばくこともできる。後ろに付いてホントに参考になります。僕は落車明けで好調とは言い難いけど、やれることをしっかりと」
 対応力が光った古性優作は、2着もラインでの上位独占をメイクした。
 「打鐘である程度流れたので、そのまま先行かなと思ったけど、(金子が)それ以上の勢いできた。(番手に飛び付いて)粘ったのは、最初からの作戦ではなくて、瞬時の判断です」

<3R>

小林泰正選手
小林泰正選手
 赤板過ぎに押さえて出た小林泰正(写真)が藤根俊貴を待つが、吉田敏洋にすくわれる。打鐘で主導権を握った藤根ラインが出切り、吉田が4番手を確保する。小林は6番手で立て直して隊列は一本棒。最終2コーナー手前からまくった吉田が前団をとらえると、小林がその上を踏み込んで突き抜けた。
 「ちょっと(吉田に)しゃくられちゃって焦りました。でも、吉田さんだったら早めに行ってくれるかなっていうのがあった。焦ってもしょうがないんで1着(取ること)を意識した。(ビッグでも)強い人が多すぎて、あんまり緊張はしなかったですね」
 好位確保からまくり切った吉田敏洋だったが、僅差ながらも4着に沈んでこう振り返る。
 「悪くても2、3着におさめないといけない展開。調子は悪くないけど、バンクの特性がつかみきれなかった。予想以上にバンクが荒れてて、スピードに乗っていかなかった」

<4R>

渡部哲男選手
渡部哲男選手
 赤板の2コーナーで切った石塚輪太郎を、松本貴治が打鐘の3コーナーで叩いて出る。外を追い上げた植原琢也と石塚で3番手の位置が取り合いに。両者がからんで最終1コーナーで植原が落車。長島大介、杉本正隆がこれに乗り上げてしまう。懸命に逃げた松本の番手で絶好となった渡部哲男(写真)が直線で差し切った。
 「あれだけ長い距離を(松本が)よく行ってくれた。要所で踏んだりやめたりしてペース良く踏んでいた。後ろでガチャガチャやっているのはわかって、石塚君が取り切ったのも見えたけど、気づいたら松岡(健介)さんが来ていた。最後はあんまり締めたら自分もからんでしまうなって思ったから、締めながらタテに踏みました。風も出ていたのでそこまで軽い感じはしなかった」
 逃げた松本貴治が、懸命に踏み直して2着に粘り込んだ。
 「めちゃキツかったです。最後は脚が止まっていました。もうちょっとスピードがほしいですね。後ろ(3番手以降)がもつれているのは知らなかった。周回中から脚が軽かったので、もっと楽にゴールできたと思ったけど長い距離を踏んだぶん、最後は脚にきていました」

<5R>

宮本隼輔選手
宮本隼輔選手
 打鐘前に切った渡邉一成を黒沢征治が押さえて主導権を取る。黒沢ラインを追った宮本隼輔(写真)と渡邉で3番手は併走に。外併走で態勢を整えた宮本が、最終2コーナーから好回転でまくって快勝した。
 「前のラインを追った勢いのまま仕掛けるべきだったかもしれないけど、黒沢さんとの踏み合いが頭に浮かんで。でも、行っていたら僕が1着じゃなかったかもしれないから。外併走でも脚はキツくなかったので、調子は悪くないんだと思います」
 黒沢マークからタテに踏んで2着同着の諸橋愛は、順当に二次予選にコマ進めたが、表情は冴えない。
 「う~ん、感じとしては前回と比べて上積みがないかな。もしかすると悪い部類かも」
 後方からのまくりで2着に届いた嶋津拓弥が、3連単の高配当を演出したと言っていいだろう。
 「相手が強いので、とにかく踏めるときに前にいくってイメージだったけど。ビッグレースで勝ち上がりの権利を取れたのはデカイね。人任せって感じの組み立てだけど、このメンバーでは仕方がないでしょう」

<6R>

野原雅也選手
野原雅也選手
 野原雅也(写真)は北日本ラインを受けて、打鐘の2センターで冷静に3番手をキープ。空けた車間を詰める勢いで最終2コーナーから踏んだ野原が、逃げる坂本周作をとらえる。ピタリと続いた稲川翔とのゴール勝負を制した野原が、地元でうれしい白星発進。
 「緊張しすぎてあんまり(レースを)覚えてない。(地元のビッグと)欠場明けで久々のレースっていうのもあって、2日前の夜くらいからドキドキした。ちょっと(仕掛けるタイミングを)見ちゃった感じもあるけど、なんとか出切れた。僕がバタバタしたんで、稲川さんは付きづらかったかもしれない。僕の緊張が稲川さんに伝わっってしまったでしょうし…。気持ち的にはこれ(初日の1着)で楽になると思う」
 ゴール前でハンドルを投げた稲川翔だったが、半車輪及ばず。
 「(野原を)抜けると思ったんですけど…。(佐藤)友和さんに飛ばされないようにと。最低限、(野原と)ワンツーだったんで、あれで僕が1着なら良かった」

<7R>

鈴木竜士選手
鈴木竜士選手
 後ろ攻めの上田尭弥から動いて高久保雄介、鈴木裕の順で先頭に立つ。前受けから後方まで下げた吉田拓矢がすかさず巻き返して最終主導権。これで絶好の展開となった鈴木竜士(写真)が、最後は余裕を持って差し切った。
 「(吉田)拓矢のおかげ。抜群でしたね。拓矢のレースは良く見るし、行くべきところで仕掛けてくれたから決まるかなって思った。うまくワンツーできて良かった。抜けているし、感じは悪くないですよ」
 逃げた吉田拓矢が2着に粘り、人気の茨城コンビで上位を独占した。
 「あそこのタイミングでしっかり踏めて行けたので良かった。すぐ仕掛けて行ったのでキツかったけど、流れているところで仕掛けられているのでいい」

<8R>

新山響平選手
新山響平選手
 後ろ攻めから切ろうとした才迫開を前受けの河合佑弥は突っ張って出させない。南潤が打鐘で叩いて出ると、河合は3番手に入り、5番手に新山響平(写真)、才迫は8番手に。最終2コーナーから河合がまくって出るが、その外を新山が豪快にまくって前団を飲み込んだ。
 「河合君が1回、突っ張ったことで自分に展開は向いたかなと。あの動きで前は脚を使うし、僕は脚を使わないで後ろ中団(5番手)が取れたので。あそこからはどのタイミングで仕掛けるかだけど、前が先に動いてくれましたしね。直前に腰に違和感が出たけど、しっかりとケアをしたので大丈夫です」
 新山マークの守澤太志が、ピタリと続いて2着をキープした。
 「新山はあの位置になってもまったく問題ないですね。アイツは楽をして思い切り踏まずペースまくりでしたよ(笑)。最後までスピードが落ちないから抜くのは無理。あれを差せたら相当なレベルだと思いますよ」

<9R>

松岡貴久選手
松岡貴久選手
 木暮安由を連れて坂井洋が先行策に出る。松井宏佑が3番手に入ると、単騎の松岡貴久(写真)は松井ライン3番手の萩原孝之をさばいて5番手を奪う。松井が最終2コーナーからまくりを打ち、小原太樹、松岡貴久の追走。外を踏んだ松岡が、小原との踏み合いに勝ち1着で一次予選をクリアした。
 「とくになにも考えてなかった。(萩原をさばいたところも)自然と体が動いた感じですね。踏んでたら(萩原を)しゃくれそうだったんで。練習では強い人たちとモガいてるんで、それがいいんじゃないかと」
 「(真後ろに松岡いるのは)気づかなかった、3番手とは」と、小原太樹。外に張りながら追い込むも2着。
 「(松井が)うまくやってくれたけど、(3番手に入るまでに)脚を使ってましたね。いいスピードで行ったくれたし、自分は前のおかげ。ゴール前は誰が来たのかわからなかった」

<10R>

郡司浩平選手
郡司浩平選手
 打鐘で切った稲毛健太を嵯峨昇喜郎が、すかさず叩いて逃げる。4番手以降は車間が空いて、一列棒状で最終ホームを通過。4番手を確保した稲毛は車間を詰める勢いで2コーナーから一気にまくる。近畿勢の流れかと思われたが、その動きを追った郡司浩平(写真)が4コーナーから外を鋭く伸び切った。
 「和田(健太郎)さんにはキツいレースになってしまった。自分が番手だったら仕掛けてほしいなってタイミングで行けなかった。北津留(翼)さんが後方だったので、どこかで一発あるかなってちょっといろいろ考えてた。スタートで中団の後ろは仕方ない。変化球というか通常の流れと違ったレース展開を作れれば、もう一段階レベルアップすると思う。稲毛さんが行ってからは落ち着いて自分の行けるところから踏み込んでいけた。あとは村上(博幸)さんのブロックを警戒して行きました」
 村上博幸が直線で稲毛を交わして2着に入った。
 「バンクがガタガタで、タイミングが取りにくかった。ゴール前は無我夢中でしたけど。満身創痍ではあるけど、一生懸命走れた」

<11R>

岩本俊介選手
岩本俊介選手
 後ろ攻めから上昇した野口裕史に合わせて、小松崎大地が中団から踏み上げる。赤板の2コーナーで先頭に立った小松崎を野口が打鐘で叩いて、そのままハイピッチで駆ける。6番手となった太田竜馬が最終2コーナーからまくり上げるが、ほぼ同じタイミングで岩本俊介(写真)が番手まくりを放って、車単1番人気に応えた。 
 「野口さんがあれだけやってくれた。小松崎さんが動いたから、ジャンではハイペースになったけど。あそこで怯んで外へ浮いてしまうのが、(野口の)負けパターンなので。ほかのレースを見ていて、まくった人もゴール前はキツそうだったので、番手から出る形でもペースでしっかりゴールまで踏むことを意識しました」
 松坂洋平は長年に渡りパワー系の自力型として南関をけん引しているが、ここは南関の3番手回り。番手まくりの岩本にしっかりと食い下がってワンツー。
 「前の2人が全部やってくれました。ジャンからすごいペースでしたね。最後は抜きにいったけど、まぁ、あそこまででしょう」
 グランプリユニフォームを身にまとう佐藤慎太郎は、小松崎大地の後ろからコースを見極めてしぶとく3着に突っ込み、「毘沙門天賞」へ進出を決めた。
 「俺は(小松崎)大地に任せていたからね。ホントは大地が仕掛けてからコースを踏もうと思っていたけど、最後はその素振りがなかったから。岩本と(松坂)洋平の間を中を割る脚はなかったけど、それを言っているだけでは意味がないので、次に同じ形になったら、できるように練習しないとね」

<12R>

清水裕友選手
清水裕友選手
 押さえて出た柴崎淳が伊藤信の上昇を阻むと、突っ張られた伊藤後位の藤木裕が内に降りて森田優弥と接触。打鐘手前で森田、平原康多が落車に見舞われる。落車を避けた清水裕友(写真)は、3コーナーから踏み上げて主導権。原田研太朗まで出切り、3番手に柴崎が飛び付く。最終ホーム手前から反撃に出た伊藤だが、原田の横まで。直線で追い込む原田を振り切って、清水が逃げ切りの1着。
 「(森田の)前受けがちょっと予想外だった。自分も(落車に)巻き込まれると思った。(そこから主導権を握って)原田さんも(最終)ホームで大丈夫だって(確認した)。(1着だけど)着ほど良くない感じです。ちょっと重たいし、反応も悪い。1走して良くなると思うんで、(2日目に向けて)修正します」
 「強かったです、踏み直しがすごかった」とは、清水と中四国ワンツーの原田研太朗。汗をぬぐいこう続ける。
 「(清水が)踏み上がって自分のタイミングも狂った。もっとタレてくるって予想していたんですけど…。僕から買ってくれてた人には申し訳なかったです」
 浮いた伊藤が外にいてタイミングが取れなかった柴崎淳は、3番手から流れ込みの3着。
 「(原田が)車間を切ってるし、あれじゃ行けないと思った。バック線から(バンクが)ガタガタすぎて脚がいっぱいだった」